保健だより 10月号

2025年10月1日発行

日中は暖かいと思っていても朝夕は急に冷え込んできたり、気温の差が激しく何を着たらよいか戸惑ってしまう季節です。気候の変化に伴い体調を崩すことが多くなるのもこの時期ですが寒いからとすぐに着込むのではなく、衣服を調節しながら丈夫な身体づくりを心がけましょう。

秋の夜長と早寝の工夫

日が短くなり、夕方から夜にかけて少しずつ冷え込む季節になりました。「秋の夜長」と聞くと、大人は本や映画を楽しむイメージがありますが、子どもにとっては生活リズムが乱れやすい時期でもあります。 どろんこ会では、毎日のデイリープログラムの中で、登園・遊び・給食・お昼寝・おやつ・帰りの時間がきちんと組み立てられています。規則正しいリズムの中で過ごすことが、子どもの心と体を育てる大事な土台になっています。園でリズムを守れている子どもたちだからこそ、家庭でも夜の過ごし方を工夫すると、さらにぐっすり眠りやすくなります。 研究でも、早寝・早起きなど生活リズムが整っている子どもは、発達や情緒が安定しやすいことが報告されています(厚労科研 2019)。また、幼児期にしっかり眠れている子どもは、小学校に進学してからの学びや集中力にも良い影響があると言われています。

~ご家庭でできるちょっとした工夫~

[就寝時間を決める] 平日・休日で大きくずれないようにすることがポイントです

[寝る前の合図を作る] お風呂 → パジャマ → 絵本やお話、という流れを毎晩繰り返すと「眠る準備」が自然とできます

[光や音を整える] 寝室の照明を落とし、テレビやスマホは寝る1時間前にはオフに、ブルーライトが睡眠を妨げます

[日中はしっかり体を動かす]  外遊びや運動をすることで夜の眠りが深くなります。 

園で築いたリズムを家庭につなげることが、子どもの健やかな成長を支える力になります。「秋の夜長」は大人にとっては特別な時間ですが、子どもには“ぐっすり眠る力”を 育てる季節にしていきましょう。ぜひ、家族で一緒に早寝の習慣を楽しみながら取り入れてみてください。 

参考文献・資料

  • どろんこ会 デイリープログラム https://www.doronko.jp/nurture-policy/schedule/
  • 厚生労働科学研究(2019)「幼児における家庭での共食パタンと健康状態、食物摂取」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「こどもの睡眠」 ・神戸大学大学院研究「3歳の就寝時間と就学後の学力・非認知能力の関連」

薄着の習慣は秋がチャンス!

秋になると日中の日差しが柔らかくなり、朝晩の気温が低下してきます。季節の移り変わりをうまく利用して、薄着の習慣をつけていくのが健康づくりのコツです。 私たちの園では、「薄着・裸足保育」を健康な体づくり・子どもの遊びへの意欲醸成のための要であると考えています。遊ぶ時は散歩時を除いて体づくり意欲づくりのために裸足・薄着に取り組んでいます。

◎薄着にするとどうして健康な体がつくられる?

もともと人間も動物の一種なので、「暑さ」「寒さ」に対する防御反応を持っています。薄着にすることで、皮膚は「暑い」「寒い」などの適度な刺激を受けることになり、それによって本来持っている防御反応がより高まっていくのです。

皮膚には、身体の内部の保護と共に、外界の温度を即座に脳(間脳)に知らせ、体内の温度をいつも一定に保とうとする働きがあります。暑ければ、皮膚の血管を広げて血液の流れを多くし、体温を発散させようとします。それでも不十分なら、汗をかいて体内の余分な熱を発散させ、体温を下げようとします。寒い時は逆に、皮膚の血管を収縮させて熱を逃がさないようにします。このように、皮膚が敏感に「寒い」とか「暑い」という「刺激」を受けることで、血管の収縮、拡張といった働きが繰り返され、徐々にその働きが素早く行なわれるようになっていきます。こうして自律神経がバランス良く発達していくのです。自律神経のバランスが良くなると内分泌が盛んになり、免疫力も強くなっていきます。免疫力が強くなることで「病気になりにくい健康なからだ」になっていくというわけです。では反対に、普段から厚着に慣れているとどうなるかといえば、外の気温の変化を捉える皮膚の感覚器官が鈍くなり、自律神経の働きも鈍り、免疫力も強くなりません。また、厚着で暖かすぎると、身体の放熱反射(体熱を放射する反射)が強くなり、逆に冷え込んでしまいます。冷たい風にあたったりすると、厚い衣類を着ている人はすぐに体温が奪われやすくなってしまうのです。その結果、風邪もひきやすくなってしまいます。普段から薄着を心がけていれば、しょっちゅう訓練しているようなものなので、体温は奪われにくくなります。

◎では、実際にどうすれば?

「子どもは大人よりも体温が高い」ということと、「よく動く」ということを頭に入れておき、もう1枚着せようかどうか迷った時は、その日の天候、気温、湿度の状況、そして子どもの健康状態、生活や遊びの状況を観察しながら、子どもが元気に動き回っているようなら、それ以上着せる必要はありません。

<出典>日本保育園保健協議会編 『保育保健の基礎知識』日本小児医事出版社

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