中里どろんこ保育園(東京都)の公開保育と汐見稔幸先生を招いた勉強会 前編

2019.01.10

#学ぶ

中里どろんこ保育園 全園

保育の質を高めるために、保育スキル講座や職員による自主勉強会が数多く開催されているどろんこ会グループ。公開保育もそのうちの一つです。今回は、中里どろんこ保育園(東京都清瀬市)で行われた公開保育と、汐見稔幸先生(臨床育児・保育研究会代表、東京大学名誉教授、白梅学園大学前学長)をお招きしての勉強会の様子を前編と後編に分けてレポートします。

公開保育で保育士同士が学び合う場を

お煎餅の焼き具合をチェックする岡田園長と園児
子ども達とお煎餅の焼け具合を確認する岡田園長

今回、中里どろんこ保育園で公開保育を企画した岡田園長にその背景をお聞きしました。

「2018年4月に開園した中里どろんこは、新卒保育士7名を含む職員体制からスタートしたこともあり、『子どもを言葉で動かさない』ことや『体験からどんな力を育むのか』などを職員一人ひとりに教えることから始まりました。職員の努力が日々の保育に表れ始めたこともあって、一度自分たちの保育を見てもらい、他園の見学者と客観的に保育を省みることができる公開保育で学びの場を作りたいと思ったんです。以前から勉強会でお世話になっている汐見先生にご相談したら、講義もしてくださることになりました。」

子ども自身が気づいて、感じて、考えることが大事

焚き火の様子を伺う園児たち
最初は離れたところから大人の様子を伺う子ども達

公開保育の内容は、どろんこ会グループが大事にしている「火」との関わりでした。焚き火でお煎餅を焼くという、一見どこにでもありそうな活動ですが、岡田園長はこの活動を設定した理由をこう話しました。

焚き火を通して、子ども自身が気づく、感じる、考える経験を

「どろんこ会グループで大切にしている火・水・土の活動の意味を、保育士一人ひとりがもっと考えなければならないと思っています。だから、今回は『火』がテーマ。『火』の活動が子ども達のどんな力を育むのか、なぜ『火』が大事なのかを考えてほしい。中里の職員には『今から焚き火やるよ』『お煎餅を焼くよ』と、大人から声をかけないようにと伝えています。大人がやっていることに子ども自身が気づき、興味を持って集まってくることを待つようにと。集まってきたら『熱いから危ないよ』『ここからは近づかないよ』『そっちは煙たいよ』と、子ども自身が熱さや煙たさに気づく前に、大人が必要以上に注意の言葉を言わないこと。子ども自身が熱い、煙たいと感じ、『どうしたらいいんだろう』と考えることが大事。子ども達は気づいて、感じて、考えてちゃんと自分で移動するようになるんです。」

焚き火に集まる園児たち
大人の動きに気づいて「何やるの?」とだんだん集まります

「ほら、みんなお煎餅を食べたくて、焚き火に集まってきたでしょう。でも、どんなに食べたくても焼けるまで我慢しなければならないから、じっと待っています。遊んでいた子も食べたいと思えば、今やっていることを中断して火の周りに集まらないといけない。『火』に関わることで、子ども達は自分の『◯◯したい気持ち』に折り合いをつけることを経験していきます。昔は地域の中で、こうした経験ができたけれども、今はそれが難しい時代。だから保育の中で、いろいろな経験ができる環境作りが求められているんです。こうしたことに中里の職員だけでなく、見学にきた他園の若手保育士にも気づいてもらいたいと思っています。」

お煎餅が焼けるのを待つ園児たち
「早く食べたい」気持ちが溢れているけど、じっと待つ子ども達
お煎餅を焼く年長児
年長児が先生と焼き係を交代。「これ、焼けてる?」
小さい子にお煎餅を配る年長児
「食べた?」と小さい子ども達に聞いたり、配ったりする年長児

公開保育の意義とは

汐見先生の話を聴く職員たち
汐見先生のお話に聞き入る参加者たち

お昼休憩後、振り返りに入る前に、汐見先生に公開保育の意義についてお話いただきました。

日々の保育を振り返り、保育の質を高める

「公開保育は、実は幼稚園の方が活発に行われてきました。厚労省で保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会が立ち上がったので、私立の保育園でも今後は増えていくと思います。幼稚園も保育園も、何年も同じ職員で働いていると閉鎖的になりがちで、自分たちの保育が外部からどう見られているか、あまり考えなくなることが多い。時代や社会はどんどん変わっているのに、数十年前と同じ保育をやっていてそれが正しいと思っている。毎年同じ行事を繰り返すだけで、それを何のためにやっているかも考えなくなる。そうすると自分たちの活動にうまく入ってこない子がいると、保育ではなく、『子どもに何か問題がある』と子どもの側に原因があると見てしまうんです。保育と子ども達の間に起きているズレが分からなくなるんですね。

だから保育を公開することで、外部から忌憚ない意見をもらい、自分たちの保育を振り返ることが保育の質を高めるためにも大事なんです。保育士は、その後の実践を研究し、記録を残し、外部に発表する一連の流れを定期的に行うことで、また自分たちの保育を見直すことになる。公開保育をどんどんやって、『もっと良い保育』を貪欲に目指していくべきなんです。」

「年間計画プロポーザル制度」で行事・活動の意味を問い直す

汐見先生の「毎年同じ行事を繰り返すだけで、それを何のためにやっているかも考えなくなる」というお話は、どろんこ会グループの「年間計画プロポーザル制度」に通ずるものでした。どろんこ会グループでは、毎年同じような前年踏襲型の年間計画を「こなす」保育を行うのではなく、スタッフ一人ひとりが「子どもに獲得させたい力」「子どもがしなければならない経験と時期」を真剣に考え、毎年2月から3月にかけて実施される「年間計画策定会議」で、次年度の園の行事・活動を話し合います。公開保育とともに、「保育の質」を高める取り組みの一つとなっています

後編では、中里どろんこの職員と参加者がどのように振り返ったのかについてをお伝えします。

中里どろんこ保育園(東京都)の公開保育と汐見稔幸先生を招いた勉強会 後編

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