食育とは、
クッキング保育ではなく、
意欲を育むことである。Nutrition Education
どろんこの食育Nutrition Education
意欲と、食らいつく食欲を。そして体験を通じて、
生命と食の循環を知る。
子ども達にはいつも目をギラギラとさせて意欲のある顔をしていて欲しい。意欲のある素敵な表情は、自然の中に足を運び、実体験を通じて命をはじめとする様々な環境を自分で認識させ、太陽の下で労働し、遊び、お腹が空いて飯を食らい、ぐっすり眠る。…このプラスのサイクルから生まれてくるのだと私たちは信じています。
feature: 1どろんこの食育の特徴
Nutrition Education01歩く・歩く・歩く。
そして、夏でも外で遊ぶ。
Doronkoでは、”長い距離を歩くこと“” 一年を通して外で遊ぶこと“にこだわっています。2歳児では往復4km、4~5歳では往復10kmを歩けるように4月から歩く距離を徐々に伸ばしてゆきます。園庭に木を植えて木陰を作り、取り付けたスプリンクラーやミスト・高低差のある築山・ひんやりした土管など…夏でも園庭で遊ぶ工夫をしています。
さまざまな発見をし、四季折々の自然に触れ、たくさん体を動かして、食べたい意欲を育ててゆきます。
Nutrition Education02畑仕事と畝作り。
畑仕事は、一番身近で、生きていくために必要な活動。鍬、シャベル、スコップを使って耕す保育士の背中を横目に、子ども達自ら耕し、畝を作ります。Doronkoでは、毎年3月にスタッフ企画による畝作り研修を開催しています。各園の年間農業計画は、0歳児や1歳児も作成します。Doronkoに入園した子ども達は、まず、土に触れ、泥で遊ぶことからスタートします。いつの間にか虫がついていて、実ができなかった。収穫直前に0歳児がピーマンに触ってポロッと落ちちゃった。こんな失敗も経験。自然科学も含めたセンス・オブ・ワンダーを体験できるのが、畑仕事の醍醐味なのです。
Nutrition Education03異年齢の子といっしょに食べる。
大人たちといっしょに食べる。
Doronkoでは、家族と同じく、大きな子・小さな子・障害がある子もみんな一緒に生活しています。様々な子がいる中で、気の強さ、弱さ、器用さ、不器用さなど個性を認め合える集団になることを目指します。先生たちも担当する子だけでなく、全園児をみるのです。 そして、人は生まれたときから苦味と酸味の味覚が備わっていると言われているように、毒や腐ったものから身を守るための本能を備えて生まれてきます。保育士・専門士・調理員・施設長など周囲の大人が美味しそうに食べているのを見て、安心し、いろいろ食べられるようになっていくのです。もちろん、調理員が子どもの食べっぷりを見て提供の仕方を考えてゆくことも大切です。
Nutrition Education04自分で盛り付ける。
大人が盛り付けしない。
まだできない子には、できる子がやってあげる。
Doronkoでは、小さい子のごはんを盛り付けるのは、大きな子の役割。でも、先生が担当を決めることはしません。子ども達は一緒に仕事をする中で、相手を頼り、意見を言い合い、相手のやり方を受け入れ、物事を進めていく場面を経験します。
まさに、頼りあい、ぶつかりあい、教えあう教育を実践しているのです。
feature: 2どろんこの食育6カ条
- 1
素材を味わう
- 2
大人が盛り付けしない
- 3
陶磁器の食器
- 4
献立は和食中心で、
薄味に - 5
好きな時間に
好きなひとと食べる - 6
調理員、保育士、
施設長も一緒に食べる
feature: 3ある日の献立
-
春 たけのこごはん / さわらのカレー粉揚げ / 小松菜のごまあえ / わかめの味噌汁 / オレンジ
竹林が近くにある園では、たけのこ掘りを体験。そして何層にも重なった皮をむき、子どもたちは、たけのこが竹の赤ちゃんということを知ります。
収穫したたけのこは、たけのこごはんなどにして、とれたてのやわらかさ、おいしさを味わいます。 -
夏 冷やし中華 / 焼きとうもろこしと焼きズッキーニ / 沢煮椀
とうもろこしは育てやすい野菜のひとつ。片手でくきを押さえ、もう片方の手でふさを持って下にポキっと収穫。
とってきたとうもろこしは、小さい子もがんばって皮むき。ゆでてそのまま出すと、1歳児も大きな子の食べ方を見て覚えていきます。 -
秋 肉豆腐 / 白菜の甘酢あえ / 五分づき米ごはん / かぶの味噌汁
子どもたちが水やりなどの世話をして大きく実ったかぶを、童話でおなじみの「大きなかぶ」ごっこをしながら、みんなで収穫します。
青々としたかぶの葉っぱも料理に生かします。野菜を余すことなくいただく知恵も学んでいきます。給食のお米は南魚沼の田んぼで子どもたちが田植え、稲刈りをしたもの。秋は自分たちで育てた新米の美味しさを味わいます。 -
冬 にんじんたっぷりちゃんぽんうどん / キャベツのおかかあえ / さつまいもスティック
とれたてのにんじんはゆでただけでも甘くておいしい。自家製味噌をつけて食べれば、おかわりが止まりません。葉っぱを天ぷらにしていただけるのも、自分たちで育てているから。それでも余ったら、ヤギ、にわとり、うさぎのエサとして役立ちます。
feature: 4食育への取り組み
Our Efforts01給食米の自給自足。
5月に田植え、9月に稲刈りを1泊2日で。
5月に田植え、9月に稲刈りを1泊2日で始めたのは、まだ無認可保育園だった頃のこと。子ども達に日本の主食の美味しさを知ってほしい。美味しいものを産み出すための労働を経験させたい。大自然の中で思い切り遊ばせたい。…そんな想いから、農業生産法人を設立し、新潟県南魚沼市に田んぼを確保し、ライスセンターを建設。15年かかってようやく、植え付けから、収穫・精米・発送までの給食米の完全自給自足を実現しました。
Our Efforts02手づかみ食べ。
子ども達は、げんこつをなめて自分の手を認識し、おもちゃを手に取って舐めて「触っても大丈夫」と、敏感な手と舌で感じ取っていきます。食べ物を手づかみして、大丈夫かどうか判断してから口に。それが、本来の自然な流れなのです。Doronkoでは、離乳後期から手づかみ食べを始めます。繊維に沿って長めに切って蒸したものからスタートし、一口量がわかるようになったら、繊維を断ち切るようにカットしたものへと変えていきます。口の成長に合わせた硬さ、切り方、大きさを考えた食材を用意しておくと、子どもはそれを自ら食べ、かじり取る力、飲み込む力が生まれていきます。それが、歯や顎の成長に繋がり、咀嚼力となるのです。
Our Efforts03生と死を知り、命をいただく。
食材と食事の関係性をきちんと学ぶ。
子ども達は、毎朝、生き物(ヤギ・鶏・その他)の糞を始末し、小屋の掃除をし、餌を与えます。命あるものは毎日世話をしてあげないと生きていけないということも経験で知っていきます。園生活の中で、死に直面することも、生まれる瞬間に立ち会うことも、すべて、命の重みを知る必要な体験。
そして、私たちは普段、『命あるものを食している』ということを経験から教えるために、保育士・専門士・調理員達と子どもがいっしょに、魚をさばいて焼いて食べたり、鶏を絞めて焼いて食べたり…という「命をいただく経験」も必要だと考え、様々な取り組みを実際に行っています。
Our Efforts04寒い日も戸外で遊ぶ。
焚き火で暖をとりながら、
焼いたおやつを食べる。
園庭に焚き火があると、外遊びしている子が火を囲んでおしゃべりしながら体を温めたり、お茶を沸かして友達やそのお母さんに振る舞ったり、野菜やウィンナーを焼いておやつにしたり、豚汁をつくってみたり…寒いとどうしても家の中で過ごすことが多くなりますが、焚き火があれば、冬であっても戸外で元気に遊べるのです。園庭がない、火が扱えないという場合は、焚き火ができる公園へ出かけます。