学びの機会を広げたい。小笠原諸島 父島保育園からの実習受け入れ

2019.07.04

#その他

北千住どろんこ保育園 発達支援つむぎ 北千住ルーム 食育

どろんこ会グループは、「学び」の機会を広く外部にも共有してゆくことで、「開かれた保育園」を目指しています。今回、小笠原村立父島保育園の調理スタッフ、佐伊友子さんからのご相談があり、2019年6月6~8日の3日間、北千住どろんこ保育園(東京都足立区)で実地研修を受け入れました。小笠原諸島 父島は都心から約1000キロの距離、交通手段は「おがさわら丸」という船で所要時間24時間、という「最も遠い都内」です。父島には保育園が1園しかないため、職員はスキル向上と情報収集のために毎年さまざまな園で研修を重ねているそうで、今年の研修先として、どろんこ保育園を見つけてくださいました。

実地研修先に求めることや、小笠原諸島での保育の様子など、貴重なお話をうかがいました。

研修先として打診したのは「食育に力を入れている保育園」だったから

――そもそも、なぜ父島保育園では実地研修を行っているのでしょうか。

父島には保育園が1園しかありません。また、幼稚園もなく、未就学児対象の給食実施施設が1カ所しかないのです。保育の質向上のため、島外の園での実習や交流を行っています。

――実地研修は、どの程度の頻度で行われているものなのでしょうか。

毎年最低1カ所、多いときは2カ所回っています。研修に行くのは私だけではなく、別の調理スタッフも他の園に研修に行っているんです。

――研修先はどのような観点から選ばれているのでしょうか。今回、どろんこ保育園を実地研修先に選んだ理由と合わせてお聞かせください。

研修先は、自園の規模に近い園を選んでいます。人数が多すぎたり少なすぎたりすると、学んだことを活かしづらいためです。

調理スタッフの研修先を見つけるのは難しく、毎回苦労しています。保育士と比べると、なかなか受け入れ先が見つけづらいんです。とはいえ、学びのためにも公立・民間問わず、さまざまな園を訪問したいと考えています。

佐伊友子さん
佐伊友子さん

今回どろんこ保育園に実習のお願いをしたのは、友人から評判を聞いたことがきっかけでした。実際に子どもを通わせていた方で、「食育にも力を入れている、素敵な園だったよ」と聞いたんです。彼女は神奈川県在住なのですが、気になって調べてみると都内にも沢山どろんこ会グループの園があることを知りました。どろんこ会の本部に問い合わせたところ、調理スタッフの実習も受け入れてくださり、こちらの北千住どろんこ保育園とのご縁をいただきました。

離島ならではの大変さは「食材管理」

――研修先の選定基準のひとつが「父島保育園と同じくらいの規模」ということですが、父島保育園には何人の子どもがいるのでしょうか。

定員は60人です。里帰り出産で出入りがあるため、その時々で人数は変動します。父島は住民の平均年齢が39歳と、子育て世代が多い島なんです。子だくさんの家庭が多く、4人きょうだい、5人きょうだいも珍しくないんですよ。

調理スタッフは常勤がふたり、非常勤がひとりの3人体制です。実地研修でひとり欠けるときには、臨時で別の人に入ってもらっています。保育士は6人、非常勤の保育補助が5人です。

父島保育園資料
父島保育園。「くじらの日」はビュッフェスタイルで給食を食べる日のこと

――離島ならではの違いはありますか?

もっとも大きな違いは、食材を上手に使い切る大変さです。父島では、本土のように必要なときに必要なものを購入することができません。島で供給できる食材には限りがあり、多くを本土から送られてくる食材でまかなっているためです。本土から送られてくるのは、1週間に1回程度。そのため、保育園には冷蔵庫と冷凍庫が合計4台あります。台風シーズンには、この1週間に1度の船便も止まってしまう可能性があるため、より気を配りますね。

献立は、1週間スパンで使い切ること、父島や小笠原諸島ならではの食材も味わえることを念頭において考えられています。

年長児クラスの保育士を中心に、レモンや四角豆、オクラやナスといった夏野菜の栽培体験も行っています。自分たちで育てた野菜だと、やっぱり食が進むんです。

「新しい情報」を取り入れて、父島保育園で活かしたい

――今回、北千住どろんこ保育園で実習を行ってみた感想をお聞かせください。

まず、子どもたちと触れ合ってみて思ったのが、天真爛漫で、初対面の私に対しても物おじしない子が多いなあということです。父島の子どもたちも人懐っこいのですが、同じくらい元気で、のびのびといい環境で過ごせているのだろうなと感じました。

また、北千住どろんこ保育園では、併設されている「発達支援つむぎ」でお聞きしたお話も勉強になりました。父島にも発達に気がかりがある子どもたちがいるため、調理スタッフができることをお聞きしたいという想いがあったんです。実際に携わっていらっしゃる方からお話をお聞きできたのは、現場を知るきっかけとして非常に有意義でした。

調理スタッフの方とも作業をしながらお話できたのも楽しかったです。バイタリティがあって素敵だなと感じました。調理室を出て子どもと関わる時間を大切にされているとお聞きしましたが、私も同じなんです。ただ食事を作って提供するだけではなく、作った先にある子どもたちの様子も見ていたい。とても共感しました。

小笠原諸島の話をする佐伊さん
おがさわら丸の盛大なお見送りがきっかけで移住されたという佐伊さん

――今回に限らず、佐伊さんが実地研修に求めていることは何ですか?

新しい情報ですね。衛生管理の工夫や調理器具など、新しいものへの取り組みは本土の方が早いです。実際に目で見たり使わせてもらったりすることで、父島保育園でも活かせるものを探したいと思っています。今回、北千住どろんこ保育園でも、調理器具やビュッフェに使われている配膳用具を見ながら、写真で見ていいと思っていたけれど、実際に見てやっぱりいいものだなあと実感しました。

あと、こちらはまだ先の話ではあるのですが、いずれ訪れる園の改築・建て替えのときに活かせる情報も収集しています。父島保育園は開園から40年が経ち、老朽化が進んでいる園です。今は現状で何とか工夫しながら過ごしていますが、次に工事を行うのなら、子どもや職員がより使いやすい園にしたいので。多くの園の成功事例や「もっとこうしたらよかった」といった事例も含めて、多くの話をお聞きしたいと思っています。

――どろんこ保育園は園によってレイアウトが異なるので、参考にしていただけるのではないかと思います。ぜひ、またいらしてくださいね。

ありがとうございます! 今回を機に、今後も交流を続けていきたいです。小笠原諸島や父島にも、ぜひ遊びにきてくださいね。

佐伊さんが撮影し作った小笠原諸島の冊子
佐伊さんが撮影し作ったもの。自然に恵まれた環境が魅力的

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