教えて園長先生「ここは安心して失敗できる場であっていい」

2020.03.19

#採用

保育士インタビュー 園長インタビュー

2015年4月に開園した池上どろんこ保育園(東京都大田区)は、今年の春、開園時に最年少の1歳児で入園した子どもたちが卒業する節目の年を迎えます。

今回は、池上どろんこ保育園の高井園長に、保育をする上で大切にしていることや、今後の目標について聞きました。

前職経験を生かしつつ、ブランクを経て新たな分野に挑戦

―以前は幼稚園教諭をされていたとお聞きしています。どろんこ会グループに入社したきっかけを教えてください。

高井さん(以下、高井):以前勤めていたのは、由緒ある大規模なスポーツ系の幼稚園でした。外遊びや裸足保育など、どろんこ会グループの保育スタイルと似ているところが割と多くありましたね。

2019年度から池上どろんこ保育園の園長に就任した高井さん
2019年度から池上どろんこ保育園の園長に就任した高井さん

結婚後、子育てのために幼稚園を退職し、15年ほどブランクがありました。入社のきっかけは、子育てが落ち着いてきた頃にどろんこ会グループの保育園が家の近所にオープンしたからです。ブリヂストン「とことこ保育園」が私にとってどろんこ会グループの1園目の園です。私は、基本的に実体験を積むことが体も心も育むことにつながると思うので、どろんこ会グループの理念にも共感しましたし、様々な取組みをしていて、面白そうな保育園だな、と興味を持ちました。ただ、幼稚園で関わる子どもたちが3〜5歳児なのに対して保育園は0歳児からなので、今まで乳児の保育経験がない中、未知数な部分もありましたね。

どろんこ会では銭湯ツアーに行ったり、商店街ツアーなどで地域の方とコミュニケーションをとったりするなど、幼稚園では行っていなかったこともたくさんあり、そういった取組みを実際に継続し続けているのがすごいな、と感じています。

保育をする上で大切にしていること

―高井さんが園長として大切にしていることはなんですか?

高井:やっぱり「人」ですね。どんなに環境や物が整っていても、それを使ったり動かしたりするのは人です。ですから、子どもや保護者、職員とのつながりは大事にしていきたいと思っています。

困ったときにはみんなで解決しようとすればなんとかなるものだし、ちょっと無茶なことであっても、日頃からの信頼関係があれば「挑戦してみようか!」ってなることもあると思うんです。

今年はまだ園長になって1年目と入口の段階だったため、職員とのコミュニケーションには手探りの部分もありました。1年が経とうとする今、少しずつ信頼関係を築けてきたのではないかと思っています。今後は、職員同士のつながりをベースに、保育の質の向上につなげていきたいな、という想いを抱いています。

―今日取材に来てみて、園の雰囲気がすごくいいなと感じました。なにか普段から意識していることはありますか?

高井:まず、就任してからずっと、「いつもよりコンディションが悪いときは必ず出勤時に伝えてください」と職員たちに伝えています。本調子でないのに、そのことを園長や周りの人に言えないことで、コミュニケーションエラーが発生したり、動きが悪くなって普段できていることができず、怪我や事故につながったりする可能性があるからです。状態を素直に伝えてさえもらえれば、誰かを代わりに入れるとか、そのクラスに職員を多めに入れるなど対応ができますから。

室内には木や松ぼっくりなど自然にあるもので作った飾りが数多く飾られている
室内には木や松ぼっくりなど自然にあるもので作った飾りが数多く飾られている

あとは、見ていてちょっと様子がいつもと違うなと感じられる職員には、「何かあった?」などとそっと声をかけるようにしています。職員のほうから「ちょっといいですか?」と、相談されることもありますね。話を聞いたその場で調整できることもあれば、他の職員との話し合いを経て対応することもあります。

また、職員たちは保育に入ると、楽しい反面、大勢の子どもたちに気配り、目配りをするため、職員本人が意識をしていなくとも、自然と気を張り続ける状態になります。ですから、職員室に戻って来たときだけでも、笑ったり雑談したりしながら、緊張状態からリフレッシュして保育に戻ってもらいたい。職員室はそのためのリセットの場所になればいいなと思っています。なので、私はどうでもいいおしゃべりをしていたりするんです(笑)。

―園長自ら雑談できる空気感を作ってくれると、職員も話しやすくなりますね。

高井:そう思ってもらえていると嬉しいですね。ガス抜きは大事ですから。職員室は情報共有の場にもなっていて、フラットに話せる場だからこそ「ちょっと○○だったよね」とか「今度はこうしてみない?」などといいアイデアが出たり、うまくいっていないところの調整もできたりするんです。

私も職員もさらにスキルアップしていくためには、一緒に考えて取り組んでいくほうがいいと思うので、「ちょっとこれどうですか?」と気軽に提案してもらえるような関係性を、今年だけじゃなくてずっと築いていきたいと思っています。

職員室にて職員と気軽にコミュニケーションをとる高井園長
職員室にて職員と気軽にコミュニケーションをとる高井園長

あとは、「子どもたちの安全は担保した上で、いろいろ挑戦してみたら?」と職員に伝えています。私自身、情報管理とかコンプライアンスなど、今まであまり勉強してこなかったことを仕事の中で勉強させてもらっていて、理論上のことと現場での経験が合致すると自分の中にすごく学びが残ると実感しているんです。ですから、自分で感じて「やってみよう」って思って、まずは挑戦してみることが大切だと思っています。

たとえ失敗しても、それは失敗ではなくて次につながるステップになる。うまくいかなかったことの方が「次はそうならないようにしよう」って自分の中で落とし込めると思うんです。

例えば、どんなにきちんと保育をしていても、子どもが怪我をすることはゼロではありません。また、怪我だけでなく、保育の仕方や行事などでも小さな失敗はあります。失敗は誰しも怖く、「失敗しました」と言うことにも精神的なつらさがあるもの。そうした気持ちがわかるからこそ、私は職員たちに「絶対に怒らないと約束するので、必ず報告してください」と伝えています。

報告をしてもらえれば、次に失敗しないための策を一緒に考えることもできます。やり直せるチャンスも与えられます。素直に打ち明けることで、本人の「もやもやした気持ち」も幾分か軽くなるでしょう。起きてしまったことをただ否定されるのではなくて、失敗したとしてもまた次のチャンスがもらえる。ここは、そうした「安心して失敗できる場」であってもいいかなって思っているのです。

―「挑戦による成長」は、どろんこ会の考え方にも通じますね。

高井:そうなんですよね。どろんこ会は、子どもたちが「0を1に変える力」を身に着けられる保育をグループのミッションに掲げています。自分の頭で考えて行動できる子どもを育てるためには、まず私たち大人が挑戦し、成長していくことが大切です。そのためにも、失敗を過度に恐れず、挑戦して引き出しを増やしてほしい。知識を頭に入れるだけではなく、子どもや職員同士の関わりのなかで、成長していってほしいと思っています。

これは、子どもたちも同様です。小さい頃に失敗する経験が少なかったために、大人になってから挑戦のハードルが高くなってしまっている人を何人も見てきました。そうした経験からも、幼いうちにどんどん挑戦する場があり、失敗を経験できたほうがいい。そうして経験した小さなエラーからの学びの積み重ねこそが、人を強くすると思っています。

高井園長と子ども達
高井園長と子ども達

日頃からのこまめなコミュニケーションの積み重ねが大事

―保護者の方とはどのように接していますか?

高井:基本的には、「何かあっても主任や園長が聞いてくれる」という信頼関係を築くことが大事だと思っています。なので、日頃からいろんな保護者の方とちょっとの時間でもコミュニケーションをとるようにしています。

着任した当初、先輩職員に「顔を覚えてもらうために、最初の1週間くらい、毎朝、門のところに立ってみたら?」とアドバイスをもらいました。それで朝の8時〜8時半くらいの間、門のところで登園のお迎えをしてみたんです。すると保護者の方と顔を合わせられるし、お子さんのことで気になることなどもお話できたりするのでいいなと思って、今でもずっと続けています。

保護者の方には、「園長先生、遠くから通っているんだって?」などとフランクに声をかけていただいて、逆に元気をもらっているところもあります。お伝えしたいことがあるときには、こちらから「お時間取れますか?」と声をかけているのですが、保護者の方からも遠慮なく声をかけていただく機会が増えていけばいいなと思っています。

園長に「お手」をする池上どろんこ保育園の人気者、ヤギのミルクちゃん
園長に「お手」をする池上どろんこ保育園の人気者、ヤギのミルクちゃん

―4月を前にして、進級や進学などにより環境が変わってしまうことを不安に思う保護者も多いと思います。施設長としてアドバイスをお願いします。

高井:正直、進級、進学するからといって得策などないと思うんです。熱心に接すれば接するほど、つい「これができないと大きいお兄さん・お姉さんになれないよ/小学生になれないよ」などとネガティブなことを言ってしまいたくなるかもしれません。でも、子どもはこの言葉が負担になって、「ぼく(私)はうまくできないから小学生になれないのかな」と不安になってしまいます。

子どもには、わくわくした気持ちで成長の節目を迎えてもらいたいものです。ですから、園では次の段階にスムーズに移行できるよう、まずはできたことを純粋に褒めたり、うまくいかなかったことを繰り返し挑戦できる機会を作ったりするようにしています。あとは、乳児クラスから幼児クラスに上がる子たち対しては、スムーズに移行できるよう、午睡の場所や食事の場所を幼児と一緒にしたり、お散歩の時間を長くするなど、部分的にシフトしていくようにしています。

保護者の方には、子どもにプレッシャーをかけるようなことは言わないように意識していただきながら、できたことをたくさん褒めていただけるといいかなと思います。 池上どろんこ保育園の職員は、私も含め、みんな保護者の方と話したいと思っているので、何かあったら遠慮なく話しかけていただきたいですね。

劇の練習をする、今年の春卒園する子どもたち
劇の練習をする、今年の春卒園する子どもたち

―今後の目標について聞かせてください。

高井:もっと経験を積んで、園長としての引き出しを増やすこと。これが私の今の課題ですね。

その時々で、子どもや保護者の方、職員に対して、保育の技術的なことだけでなく、メンタル的な援助やアドバイスなど必要な支援ができるよう、もっとスキルを積んでいきたいです。そのために本を読んだり、いろいろな人と関わったり、研修に参加したりしながら、その引き出しを増やしていきたいですね。 そして、私や保護者の方とコミュニケーションをとるなかで、職員にもスキルアップしてもらえたらいいなと思っています。

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