「楽しい」が、「食べたい」を生む。栄養士が語るどろんこ会の「食育」

2020.07.09

#保育

保育士 栄養士 食育

「食育」と聞き、どのようなイメージを抱きますか? 食べものを粗末にせず、きちんと食べること。また、調理実習のように料理の体験を思い浮かべる人もいるでしょう。

普段の保育に「食育」を積極的に取り入れ、大切にしているどろんこ会グループ。食に深く携わる調理スタッフも、ただ給食を調理するだけではなく、保育士同様、子どもたちと触れ合いながら積極的に食育活動に関わっています。調理スタッフ・保育士ともに、大切にしているのは「楽しく食べる」です。

今回は栄養士であり、入社後に保育士の資格も取得したメリー★ポピンズ 和光ルーム(埼玉県和光市)の朝山さんに、どろんこ会グループの「食育」についてインタビューしました。

食事は子どもが頑張る場面ではない。悩みながら辿り着いた気付き

ー入社してから苦労したこと、また楽しかったことを教えてください。

調理スタッフの配属が一人だけの小さな園だったので、最初は調理から片付けまでの流れを掴んで自分のスタイルを見つけるのが大変でしたね。保育の知識がそれまでほぼ無い状態からの保育園での調理スタートだったので、自分の取組みが合っているかが不安で手探りの日々でした。先輩の保育士さんに相談しながら、徐々に仕事に慣れていきましたね。

一番楽しいのは、子どもの反応があったときです。『命をいただく』活動(魚の解体や米とぎ体験など)の中で「お魚さんから血が出たんだよ」「今日は私がお米をといだんだよ」と、子どもたちが保護者の方に話したことが連絡帳に書かれているのを見ると嬉しくて。食育の取り組みがきちんと子どもたちの印象に残っていること、保護者の方にも教えたいと思ってもらえていることがわかると、日々の活動がより楽しみを増してくると感じます。

ー朝山さんは入社後に保育士資格を取得していますが、そのきっかけは何ですか?

先ほどもお話したように、子どもとの接し方や保育について知識がほぼなかったため、自分の保育のあり方に自信が持てませんでした。そこで、入社して2,3年経った頃、きちんと保育についての知識を得たいと思い、取得に向けた行動を開始しました。当時の園長が資格取得に向けて背中を押してくれたことも大きな支えになりました。

子どもたちとの触れ合いも楽しめるようになったと語る朝山さん(2019年度 撮影)
子どもたちとの触れ合いも楽しめるようになったと語る朝山さん(2019年度 撮影)

ー仕事の向き合い方に変化がありましたか?

資格を取得してから、知識に基づいた判断ができるようになったこともあり、仕事がより楽しくなりましたね。不安だった子どもへの言葉かけにも自信を持てるようになりました。保育士の気持ちが理解できるようになったことで、同じ目的意識を持って話せるようになったと思います。

食育についても考えが180度変わりました。それまでは「給食は残さず、野菜も食べてほしい」という思いから、「頑張って一口食べてみて!」と子どもたちに声をかけていたんです。でも、食事は「頑張る場面」ではなくて、「楽しい気持ちで食べるのが一番だ!」ということが勉強してわかったんです。

ー「残さず食べてほしい」が「楽しく食べてほしい」へと意識が変わった具体的なきっかけはありますか?

きっかけは、「どろんこレシピプロジェクト(書籍の出版)」に関わったことです。その当時、私は子どもたちに食べてほしい想いから、「ペロリカード」という野菜が食べられたらカードにシールを貼る取り組みをしていました。その当時はこの取り組みに自信を持っていて、食育のベテランの先輩方ばかりのプロジェクトの会議でも発表していたんです。でも、メンバーから返ってくる反応が微妙で、「あれ?何か違うのかな」と感じていました。

そこで改めて「どろんこ会の食育」に向き合うことになりました。園長に相談すると、「たくさん遊んで、子どもがお腹が減ることも食育の一つだよね」と話してくださったんです。私の考えが大きく変わるきっかけの一言でした。子どもの食欲に繋がることを全部「食育」と捉えていいのだと思い、同時にとても気が楽になったのを覚えています。

次の会議で「ペロリカードやめました!頑張って食べさせるのではなく、子どもが食べたいと思う活動が食育です」と発表したところ、拍手喝采をいただきました。私の考えが完全に変わった瞬間でしたね。

どろんこ保育園の食育計画
どろんこレシピプロジェクトで発売した「どろんこ保育園の食育計画」

意識の変化で子どもたちにも大きな変化が

ー子どもたちに変化はありましたか?

カードをやめてからのほうが、結果的に子どもたちの食べる量が増えましたね。食べ始めてから5分で席を立っていた子が、最後まで笑顔で給食を食べてくれるようになりました。無理して食べさせることがなくなったときから、子どもたちが生き生きと食べるようになったんです。今思うと、カードを使っていたときは子どもたちにとって楽しい食事ではなかったんだなと思いました。

職員にも伝えて協力してもらい、園全体で「頑張って食べて」を言わないようにし、日常会話を増やして楽しい雰囲気作りをするようにしました。

笑顔で食べれば、食事も美味しく(2019年度 撮影)
笑顔で食べれば、食事も美味しく(2019年度 撮影)

ーこれからの課題はありますか?

「食べなくてもいいよ」と放置してはプロではないと思っています。食べるきっかけづくりが私たちの役目なんです。言葉かけも子ども一人ひとりで反応が違います。「これシャキシャキしているよ」と音の表現で食べる子もいれば、保育者が「美味しい」と言っているから食べてみよう、と思う子もいます。毎日トライ&エラーをしながら、それぞれの興味を引く言葉がけや活動を探していきたいですね。難しいですが楽しさもあります。

子どもたちの嫌いなものをなくす、ではなく、好きなものを増やしていけたらいいな、と思っています。

子どもの「キレイに食べたい!」を受け、必要に応じてお手伝いも(2019年度 撮影)
子どもの「キレイに食べたい!」を受け、必要に応じてお手伝いも(2019年度 撮影)

ー保護者の方からの「食」に関する悩みの相談にはどのようなものがありますか?

やはり好き嫌いの悩みが多いです。子どもの味覚は成長と共に変化していくので、「悩みすぎないで今は大丈夫ですよ」とお伝えしています。子どもたちは園でよく食べているため、園の食事の様子を細かく伝えたり、家庭向けにアレンジしたレシピをお渡ししたりしています。家庭で会話を楽しみながら、子どもと一緒にご飯を食べてほしいですね。ただ、いろいろとやらなくては、と無理せず、保護者の方のできる範囲で十分だと思っています。

ー改めて「どろんこ会の食育」についてお聞かせください。

クッキングや行事のときに何かをするだけが食育ではなく、食に対して前向きな子どもを育てることも食育です。「全部食べなきゃいけなくてつらい」「楽しくない」と子どもたちに思わせるのではなく、まずは「食べるって楽しい」と思ってもらえるような時間を意識したいですね。たくさん動いてお腹が空く、ご飯のいい匂いがする、「美味しそう!」と思う、好きな人と一緒に食べるなど、どろんこ会グループの保育園での活動全てが食育につながっていると思います。

調理室の窓越しにも触れ合いを(2019年撮影)
調理室の窓越しにも触れ合いを(2019年撮影)

ーこれからどのような食育を目指していきたいですか?

どろんこ会全体で大切にしている食育の根本は、「楽しく食べる!」。楽しさがあれば、子どもの挑戦してみようという気持ちが自然と湧いてきます。子どもの意欲を引き出し、それを満たすのが私たちの仕事です。大人が先導するのではなく、子どもの主体性を大切にしながら、「食べてみよう!」と思える体験をたくさん用意したいですね。調理スタッフも子どもと関わりを持てるのが、どろんこ会グループの特徴であり良いところ。その良さを活かして、これからも子どもたちと楽しい食の時間を過ごしていきたいと思っています。

編集後記

どろんこ会グループ イメージ動画にも出演し、食育プロジェクトで知り合った仲間達とは今も保育について「こうしていきたい!」を話しているという朝山さん。保護者の方が気兼ねなく相談できる相手になりたい、保護者の方々も楽しい気持ちで園に子どもを預けに来てほしいと語ります。悩みながらも子どもと食育について考えるその言葉は、子どもや保護者の方に寄り添おうとする姿勢が表れたものでした。朝山さんは「泣きながら給食を食べる子がいなくなるよう、子どもが楽しく食べられるような活動をこれからも続けていきたいです」と力を込めて語ってくれました。

「楽しく食べる!」を前提としたどろんこ会グループの「食育」は、子どもの生きる意欲を自然と引き出すことにも繋がっていきます。

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