「子どもに本物の体験を」入社2年目の保育士が探究費プロジェクトに挑戦

2021.02.12

#保育

前原どろんこ保育園

どろんこ会グループでは、日々の保育活動をさらに発展させるための取り組みに対して、「子育て探究費」(以降、探究費)を支給しています。この助成金は、職員または施設、あるいは複数の施設の職員で作ったグループごとに企画を立て、本社でプレゼンを行い、審査に通れば獲得できるものです。

2020年度は28チームが参加し、10チームが内容に応じた探究費を獲得しました。その中の1つが前原どろんこ保育園(沖縄県うるま市)の「DORONKO RACING (どろんこレーシング)」です。リーダーを務めたのは、入社2年目の久高さん。久高さんに企画の意図や活動内容、子どもたちの成長について聞きました。さらに側で活動を見守ってきた岩田園長に、久高さんの成長ぶりについてもインタビューしました。

サーキットにて
ククル読谷サーキットにて、完成したキッズカートとともに

車作りを通して、科学や工学に触れる機会をつくりたい

久高さんが提案したのは、5歳児クラス(こめ組)を対象とした「アクティブ・ラーニングを通して子どもの科学・工学への興味関心を育てる車作り」。キッズカートを購入し、子どもたちに分解・組み立てから、実際に乗って走るところまでを経験してもらうというプランでした。

「日々の保育や日常生活の中で、科学や工学に触れる機会があまりにも少ないと感じていました。私自身が専門学校で工学を学んだ車好きということもあり、車作りを通して少しでも科学や工学に触れてもらいたいと考えたのです」(久高さん)

車について学ぶ
キッズカートが届くまで、車の本や雑誌を見ながら学ぶ子どもたち

久高さんは、保育士だけでなく、園全体でこの活動に取り組みたいと考え、保育士2名と調理員3名のチームを作り、プレゼンに臨みました。

「プレゼン前は緊張して頭が真っ白になりましたが、いざ話し始めると思いがあふれて止まらなくなりました」と本人が語るほど熱のこもったプレゼンは、審査員を務めた代表、理事長はじめスーパーバイザーたちの心を動かし、見事探究費を獲得しました。

身近な仕事について調べた
身近な仕事について知ってもらうところから車への興味をつなげた

地元サーキット場の協力が大きな支えに

このプロジェクトを始めるにあたり、最も大きな力になったのが、ククル読谷サーキットのオーナーであり、一般社団法人チームオキナワの代表を務める翁長さんです。翁長さんも沖縄のモータースポーツの普及や、子どもの頃からモータースポーツに触れることで、いつか地元からグランチャンピオンを輩出したいという思いもあり、子どもたちのためにという久高さんの熱い思いに応えてくださったのです。

「プレゼン前からチームのメンバーとククル読谷サーキットに何度も足を運び、翁長さんとお話させていただきました。キッズカートの購入も、最初は新車で考えていたのですが、値段が高くて1台しか買えないことから、状態のいい中古車2台と、ヘルメット、レーシングスーツ、手袋、工具などを翁長さんからまとめて安く買えないか、交渉しました」(久高さん)

イベントでは募金活動も
サーキットのイベントでは翁長さんの提案で募金活動も行った

さらに、久高さんの熱意と翁長さんの働きかけのおかげで、モータースポーツ関連企業や自動車販売店、スポーツメーカーなど、20を超える企業がスポンサーについてくださいました。たくさんの方の温かい思いが久高さんの企画を後押ししたのです。

アクティブ・ラーニングを実践した分解と組み立て体験

キッズカートが届き、いよいよ分解と組み立ての体験に移ります。果たして子どもたちにできるのでしょうか。

ホイール外しを体験
車のホイールを外す体験後、キッズカートの分解にも興味を示すように

「保育士がやり方を教えるのではなく、どの工具を使ったらどのネジが取れるのか、自分たちで探して学んでもらいたいと思い、アクティブ・ラーニングを意識しました。見ているとつい教えたくなるのですが、そこはぐっとこらえて見守るようにしたのです。 一般的なネジならドライバーで回すだけで簡単に取れますが、ボルトとナットが使われているので、上と下を挟んで回さないと取れない。そこに子どもたちが気づくまでにとても時間がかかりました。諦めそうになる場面もありましたが、そんなときは『こっちは取れるんじゃない?』と別の部品に興味を持たせるようにしながら進めていきました」

キッズカートを分解する子どもたち
キッズカートを分解する子どもたち

自分たちで考えて探りながら分解するという経験をしたことで、部品の位置などを覚えて、子どもたちだけで組み立てる姿が見られたといいます。

「似たような形の部品が多いのですが、子どもたちがそれをよく覚えていたのには驚きました。アクティブ・ラーニングとして100%まではいかないかもしれませんが、90%くらいは達成できたかなと思っています」(久高さん)

駆け抜けろ!いざ、サーキット場で走行

園での試運転を体験したのちの2020年12月11日、ついに本物のサーキット場で走行しました。子どもたちの反応はどうだったのでしょうか。

「十人十色ですけど、ある男の子はキッズカートに乗るのがずっと夢で、乗り終わったあとに『最高だった!』と言っていました。またある女の子は、音も大きいし、うまく運転できるか不安で、前日から『行きたくない』と言っていたそうなのですが、実際乗ってみたら『楽しかった!次もあったらまた乗りたい』とおうちの方に話していたそうです」

サーキットを安全に走行
スピード調整で時速5kmに抑え、サーキット場のスタッフがロープを持って安全に走行した

こうした経験を経て、子どもたちは身近な車に興味を持つようになり、散歩中に見かけた車のメーカー名を当てたり、「この車にはこんな大きいタイヤが入っているんだね」などとホイールやタイヤのサイズの違いにも気づいて、保育士を驚かせているといいます。

園でも、用務員が工具を使って何かしていると、「手伝うよ」と声をかける子もいて、「車作りの活動をしたことが子どもたちの自信につながっている」と久高さんは感じているそう。

苦労を乗り越えて人間的にも大きく成長

ここまでの活動の様子を聞いていると、まさに順調に進んできたかのように思えますが、「毎日が大変だった」と久高さんは言います。

「特に人を巻き込むことが難しかったですね。自分からの発信が弱く、チームのメンバーへの情報伝達がうまくいかないこともあり、悩んだ時期もありました。その都度、話し合う場を設けたりしながらなんとかやってきましたが、チームで動く難しさを感じました。せっかくチームを組んだのに、自分ばかり動こうとして、周りに頼ることができていなかったんです」

協力してくれた仲間たち
チームのメンバーも全力で協力してくれた

12月のサーキット走行を終えたあと、久高さんは「『次からはみんなでやっていこう』と話せるようになった今、ようやくチームみんなで進められていると感じています」と、担当しているクラスも仕事内容も異なるメンバーたちとの息も合ってきたようです。

そんな久高さんを岩田園長はどのように見ていたのでしょうか。

「メンバー決めから企画内容、活動まで、すべてチームに任せようと見守ってきました。久高さんは、もともとあった意欲に自信が加わり、リーダーらしくなりました。周囲の見る目も変わり、今はその発想力や行動力に驚きと憧れを持つ人も多いです。

今回の経験で、苦しいときこそ踏ん張る力、乗り越える力、交渉力やプレゼン力、資料をまとめる力が身につき、すごくよい経験になったと思います。これからがとても楽しみです」

レーシングスーツを身にまとった子どもたち
翁長さん(左)、久高さん(右)とレーシングスーツを着た子どもたち

キッズカート作り体験は、今後、前原どろんこ保育園の伝統として引き継いでいく予定だといいます。5歳児が作ったカートを引き継ぎ、来週2月17日には4歳児がサーキットデビュー予定。どろんこ会グループでは、今後もこうした活動を通して、子どもたちに本物を体験する機会を提供していきます。

関連リンク

ククル読谷サーキット

前原どろんこ保育園

保育者の探究心を支える「子育て探究費」制度

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