園長に聞いてみたvol.2 暑い日の保育、どうしてる?

2023.07.06

#保育

池上どろんこ保育園

間もなく夏本番。目前に迫る猛暑の日々、子どもたちは保育園でどのように過ごしているのでしょうか?

今回は暑い日の保育をどう工夫しているのか、池上どろんこ保育園(東京都大田区)の鈴木施設長に聞いてみました。

池上どろんこ保育園の鈴木施設長
大学で経済を学ぶも一念発起し国家試験を突破し保育士になった鈴木施設長

暑くても戸外活動はやっぱり魅力がたくさん

—暑い夏。戸外活動を積極的に行うどろんこ会グループですが悩みはありますか?

熱中症をはじめさまざまな感染症も流行する時期でもありますので、やはり子どもの体力、体調には最も気を配っています。室内では再現性のある遊びを楽しめることも魅力ですが、戸外ではたとえ同じ場所や公園に行ったとしても、風が吹いたり、虫を見つけたり、一日として同じ日はありません。やはり戸外での活動は日々刺激があり魅力的です。とはいえあまりに暑いと活動時間を短くせざるを得ない日もあります。そうなると遊びを途中で切り上げなければならなくなるなど、遊びが広がりづらくなることは悩みです。

乳児たちも園庭で水遊び
6月でも暑かったこの日は乳児たちも園庭で水遊び

—暑い日の活動場所はどのように選んでいますか?

池上どろんこ保育園は池上本門寺の敷地内にあり、都内でありながら木々が生い茂っていて自然が豊かな場所にあります。木陰が多い公園での探索活動や、水辺のある公園などを選ぶようにしています。子どもたちの体力に合わせた距離と、できるだけ暑さをしのげる場所選びがポイントです。

—暑すぎて外に出たがらない子もいるのではないでしょうか。どのような工夫をしていますか?

もちろん無理に戸外に連れ出すようなことはしていません。ただ、普段は使わない物を使うなど、子どもが思わず外で遊びたくなるような仕掛けを考えています。例えば氷を使った遊びは子どもたちにとても喜ばれました。紙パックに水を注ぎ、自然物をいろいろ入れて凍らせて、次の日に凍った物の鑑賞会をしたり、実際に触ってみたり。ホースで水をかければ削ることができたり形を変えることもできます。斜めに削って新幹線にしてみたり、通り道をつくってビー玉を転がせたり、さまざまな組み合わせで遊ぶことができました。

そのほかには散歩先にたらいを持参して水をまいたり、公園で水の通り道をつくってみたり。プレーパークのような場所ではブルーシートに水をまいて滑るなど、夏ならではのダイナミックな遊びを取り入れることもしました。

水をまいて大喜びの子ども
水をまいて大喜びの子どもたち

—そういった遊びの発想はどこから思いつくのでしょうか?

子どもだけを見ていても思いつかない時もあります。時々顔を上げてみると、あんな所にみかんの木があったと発見したり、ちょうちょが飛んでいることに気づいたり。今そこにある環境をもっと生かすための保育士の気づきの力、経験やひらめきは大事だと思います。

また、スタッフ同士でアイデアを出し合うことも有効です。どろんこ会グループにはアウトドアが好きなスタッフも多いのでそこからヒントを得ることもあります。ほかの園のエピソードを聞いて参考にすることができるのは複数施設があるメリットですね。

色水遊びに夢中
いつの間にか出てきた色水に夢中の子どもたち

熱中症対策をしっかりと 一人ひとりに目配りを

—暑い日に戸外活動を実施する場合はどのようなことに気を付けていますか?

子どもの体調チェックが第一です。顔色をよく見ること、子どもの声をよく聞くことを大切にしています。

まだ言葉を話せない月齢の場合、水分を要求できなかったり暑さを訴えることができなかったりします。そのため夏場はより一層目をかける時間を増やすようにし、一人ひとりの体調にしっかりと目を配っています。

また、水遊びをしているからといって熱中症にならないわけではないので、水遊び中も油断をしないことは常にスタッフにも周知しています。加えて、水遊びにおいてはたとえ10㎝の深さでも溺れるリスクがあるということも伝えています。さらに夏によく出てくるハチやヘビなどの危険生物のチェックも怠らないようにしています。

水分補給をしっかりと
水分補給をしっかりと行います

—熱中症対策で実施していることはありますか?

定期的な水分補給を徹底しています。中にはなぜ水分を取らないと危険なのかということを理解していない子どももいます。その子が必要とする水分量をきちんと取れているかを見ながら時間を決めて取れるようにしています。

また、子どもの体づくりの観点からも対策は必要です。今もちょうど畑でトマトやきゅうり、なすを育てていますが、カリウムを豊富に含む夏野菜は代謝や体温の調節にも関わり、汗で失われがちなミネラルなので、積極的に取れると良いと思います。夏に限ったことではありませんが、日ごろ食べている食材が自分の体づくりにどのように役に立っているのかという話を折に触れ伝えるような食育活動を実施しています。

園庭の畑ではなすが成長中
園庭の畑ではなすやピーマンが順調に成長中

—気象庁は熱中症警戒アラートを発表していますが、暑さ指数を見ながらの活動になりますか?

暑さ指数も日々確認し、判断材料とします。ただ、指数に頼りすぎるのではなく体感も大事だと思います。たとえ気温が高くなくても湿度の高さからすると熱中症のリスクが高くなる日もあります。

また戸外だけでなく室内でも熱中症のリスクはあるため、室温のこまめな確認と調整をしています。また、冷たい空気は下にたまりやすいので常に子どもの位置での体感温度の確認も大切です。

インタビューに応える鈴木施設長
インタビューに応える鈴木施設長

—暑い夏、ご家庭でのお勧めの過ごし方を教えてください。

保育園では集団ならではの人と人のつながりを大切にした遊び、また明日が楽しみになるような連続性を大事にした遊びを、保育士たちが皆専門性をもって考え、工夫しています。ご家庭では無理をせず、何より子どもと一緒に過ごす時間を楽しんでほしいと願っています。夏野菜を使った料理を一緒に作る体験や、牛乳パックで作った船をお風呂に浮かべてみたり、ケチャップやマヨネーズの空き容器を利用して水鉄砲を作ったりするのも手軽でお勧めです。

どろんこ会グループでは、子どもの体づくり、成長のためにも、安全を徹底しながら、夏も元気に戸外活動に取り組みます。

施設情報

池上どろんこ保育園

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