《開催報告》特別対談 「保育変革期の中で私たちはどうすべきか」

2019.08.29

#イベント

イベント

7月27日(土)東京都世田谷区の下北沢にある北沢タウンホールにて、どろんこ会グループ初の公開イベント「保育変革期の中で私たちはどうすべきか~2020 教育改革からはじまる『子育ての更新』とは~」を開催しました。

天気予報では大型の台風接近が懸念されていましたが、当日は快晴。職員、一般・学生、またどろんこ会グループの元職員(アルムナイ)の方々が参加。会場の座席はほぼ埋まり、登壇者二人のお話の内容も白熱し、熱気あふれる時間となりました。

開場ともに埋まる座席
開場とともに続々と埋まっていく座席

2019年度からのどろんこ会グループのテーマ「学びのシェア」

開始早々、安永理事長から説明がありましたが、今回のイベントの発端は職員の提案・行動から、でした。現在全国で130ヶ所を超える保育所・発達支援事業所を運営するどろんこ会グループ。職員数も2000人近くになっています。規模が大きくなるにつれ職員の「学び」の質を改めて考える機会が増えました。それまで同じグループ内で職員のスキルアップのために年間100回以上開かれていた「保育スキル講座」。身内だけで学ぶだけでなく、地域の方や子育てに関わる全ての方と「学びのシェア」を行い、時代とともに「子育ての更新」もしていきたい。そのためには子育てや教育に関わる第一線にいらっしゃる方をお招きして学びの機会を作ろう!そんな職員の声が集まり、中心となって、保育所保育指針改定に関わる委員会の座長を務められた東京大学名誉教授の汐見稔幸先生にお声がけし、今回のイベントにご登壇いただけることになりました。

汐見稔幸先生
汐見稔幸先生

当日はつくば、仙台、郡山、福岡、沖縄、といった各エリアでもサテライト同時配信を行い、各地の多くの職員が対談に耳を傾けました。

第一部:常に15年後を描き、逆算する~脱「ねばならない」~2020年教育改革とは?

第一部はテーマに沿って汐見先生、安永理事長の対談形式で行われました。安永理事長が1号園を開園以来、常に念頭に置いていたこと–それが「常に15年後を描き逆算しながら行動する」ということでした。目の前の5歳の子どもの15年後を想像しながら保育をしているか?園長、先輩の前例に従うだけの「~ねばならない」に縛られていないか?汐見先生も現在の変化は人類史上最もスピードが早く、未来を予想するのが極めて困難になっている。「答えのない時代」を今の子どもたちは生きていくからこそ、前例や自分自身の経験だけに囚われず、子どもたちの声をよく聞いて日々の保育を考えてほしい、そして「本物の文化」と触れ合う機会を増やして欲しいと話されました。

本イベントのタイトルにもある「2020年教育改革」に関しても汐見先生にご説明いただきました。TVCMなどで「来年から変わる、じゃあどうすればよいの?」と不安に感じる保護者・保育者も多くいるようですが、来年からそれまでの20世紀型の教育を21世紀型に更新するということ。そして、すでに幼保の世界では2017年に保育所保育指針も改定されており、それに即した内容に小中学校も後追いで変わるだけであり、保育者が今から焦って新しく制度などを導入する必要はない。しかし、保育者としての意識も同時に21世紀型に更新していく必要のあることを説明されました。

その後、非認知能力の育み方、安永理事長が大事にしている5つの項目の紹介、そして、汐見先生ご自身の幼少期の経験を紹介しながらの解説があり、一部は終了となりました。

第二部:公開質問

第二部は登壇者のお二人へ、事前に集まった質問と会場からの直接質問に答えていただく時間となりました。

事前質問のアンケートで一番多かったものが10月から始まる「幼児教育無償化」に関してでした。この質問に対して、汐見先生から諸外国の幼児教育に関する制度や考え方などの事例を紹介いただき、日本が今後、幼児教育をどのように位置づけていくのか、保育者たちの心構え、などをお話いただきました。その後、会場からは

  • 子どもを『本質』にふれさせ、それを見守るためのマインドセットとは?
  • 『脱・ねばならない』と『マニュアル』の中で保育者に自由な発想・行動をしてもらうためには?
  • 自由保育→放任保育にしないための工夫は?
  • 保育園が教育的な付加価値を高めていくのに制度や行政でボトルネックになっていることとは?

などの質問があがり、会場は大いに盛り上がりました。

最後はお二人から参加者に向けての激励のメッセージでイベントは終了となりました。

安永理事長
質問に答える安永理事長

参加者の声

参加者の感想を紹介させていただきます。

–熱い思いの伝わる会に参加できてよかったと感じます。改めて自分がなぜこの仕事をするのか、したいのか、考え直す良いきっかけになりました。

–自分の学びを深める、人としての成長につながる とても貴重な時間となりました。

–良い保育園、幼稚園はカリキュラムで判断するのでなく、保育士、幼稚園教諭をして働く”人”なのだと思いました。

–今、自分の興味があることを学ぶことができた。この学んだことを、高校でのゼミ活動や大学入試など自分の将来の夢である保育士になるために活かしていきたい。

対談の様子
対談の様子

当日参加者にアンケートをお願いしたところ、約8割の方々にご協力いただきました。しかも、イベント内容、総合満足度に於いては9割以上の方が「満足」「大変満足」と答えており、多くの方々の「学び」の機会になったことをとても嬉しく感じております。

「学びのシェア」を広げてゆきます

今後も各エリアで「子育てスキル講座」の地域公開や、また、秋以降今回のようなイベントも企画検討中です。私たちは子育てに関わる全ての人とつながり、学び合うことで時代にあった子育ての更新を続け、社会、世界を変えていきたいと真剣に考えています。今後のどろんこ会グループの各種イベントに是非ご期待ください。

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