子どもの心を動かし、人生の土台づくりに寄与する支援を。発達支援つむぎ 吉祥寺ルーム施設長インタビュー ──地域連携活動(下)
2026.04.09
どろんこ会グループの地域連携活動について紹介してきた本シリーズ。最終回は、発達支援つむぎ 吉祥寺ルーム(東京都武蔵野市)三浦施設長へのインタビューです。子どもの「生きる力」を育むために大切なことは何か。その思いに迫ります。
日常に溶け込む「発達支援つむぎ 吉祥寺ルーム」の実践 ──地域連携活動(中)
生きる力を育むホンモノの経験を届けるために
―改めて、吉祥寺ルームが地域連携活動を重視する理由を教えてください三浦:子どもが将来、地域の一員として生きていくために「本当に必要な力」を育むためです。本当に必要な力は、ただ交流するだけでは身につきません。ただ混ざる、ただ体験するだけなら、例えば家族旅行でもできます。
私たちは児童発達支援のプロとして、子どもの生きる力を育む「ホンモノの経験」を創りたい。そのために連携先と継続的に関わり、信頼関係を育むことを大切にしています。子どもの心を動かし、人生の土台に残る言葉や出来事は、遠慮のない関係性の中でこそ生まれてくるからです。

三浦:家庭や吉祥寺ルーム以外の大人から感謝されたり、ときに注意されたりする経験も、その子にとってはかけがえのない体験です。そうした積み重ねが人生の基盤になっていく―私たちは子どもの将来を見据え、その人生の土台を支える支援を行いたい。
そして、少子化や核家族化が進む現代において子どもを地域全体で育てていくことは、そこに暮らす大人一人ひとりの責任であるとも感じています。地域の子育て力の向上に貢献するために、障害や病気、発達に気がかりのある子どもの姿や見通しを丁寧に伝え、共に過ごすための橋渡し役となること。それもまた、私たちに託された大切な役割ではないでしょうか。

三浦:子どもたちはもちろんですが、障害や発達に気がかりのあるお子さんを育てる保護者の方の力になりたい―それが私の原点です。前職では30年間、幼稚園教諭として働いていました。その中で、子どもの発達に不安を抱え苦しむ保護者の姿を目にしてきました。「迷惑をかけてしまうかもしれないから」と公園に行くことさえためらい、親子で家に閉じこもっているというのです。
この子どもたちが地域で暮らし生きていくために、本当に必要な力は何だろう。その力を育むために、私にできることは何だろう。できることは全てやりたい―その思いで試行錯誤を重ねてきました。今もまだ、その最中です。

支援の核心にある、一人ひとりのインクルーシブ
―支援においてもっとも大切にしていることは何ですか三浦:支援に携わる私たち一人ひとりの中に「インクルーシブな世界」があるかどうか。全てはそこに尽きるのではないでしょうか。
子どもと大人、スタッフ同士、保護者との協力、地域との連携―保育や支援は、どんな場面でも「人対人」の関係性の中から生まれます。だからこそ、自分自身の人間形成が何よりも大切だと考えます。
違いを認め、尊重し、他者を信頼すること。その姿勢があってこそインクルーシブな実践が可能になります。逆にいえば、どれほど制度や設備が整っていても、その土台がなければ実現しえません。
保育や児童発達支援を単体で行う施設であっても、支援者の中にその世界観があればインクルーシブ保育は実践できる。私はそう信じています。

三浦:
①慣習にとらわれず新たな挑戦を続けていくこと
②人材育成に力を入れ、私たち自身も成長し続けること
③武蔵野市の児童発達支援を支える拠点として、役割をさらに強化していくこと―です。
そしていつか、もしも子どもたちがこの地域で働きたいと願ったとき「吉祥寺ルームの子どもなら、ぜひ迎えたい」と言っていただける、そんな関係性を地域とともに育んでいきたいと考えています。子どもやスタッフの顔ぶれは変わっても、吉祥寺ルームは変わらず地域の中に在り続けるのですから。
三浦さんのまなざしの先にはいつも、地域の中でいきいきと輝く子どもたちの未来が広がっているようでした。

こども家庭庁の「児童発達支援ガイドライン」には、児童発達支援の目標として次の4つが掲げられています。
児童発達支援の目標:①アタッチメント(愛着)の形成とこどもの育ちの充実
②家族への支援を通じたこどもの暮らしや育ちの安定
③こどもと地域のつながりの実現
④地域で安心して暮らすことができる基盤づくりの推進
出典:「児童発達支援ガイドライン」こども家庭庁
吉祥寺ルームの取り組みは、まさにこれらを日々の実践の中で体現するものです。
どろんこ会グループはこれからも、全国約200の施設においてインクルーシブ保育・支援の理念を実現してまいります。
連載記事
地域と共にあるインクルーシブ保育とは ──地域連携活動(上)
日常に溶け込む「発達支援つむぎ 吉祥寺ルーム」の実践 ──地域連携活動(中)







