危ない?汚い?それでも、どろんこ会が「裸足保育」を続ける理由。─足裏から育つ創造力と、生き抜く力【前編】
2026.10.08
朝日がたっぷり降り注ぐ園庭に、子どもたちの元気な声が響き渡ります。豪快に側転を決める子、小高く盛られた築山(つきやま)を駆け降りる子、田んぼでタニシを探す子──。



ふと足元に目を向けてみると、靴を履いていません。大地を踏みしめるその足は「裸足」です。

どろんこ会では1998年の設立以来、一貫して「裸足保育」を続けてきました。「ケガをしないの?」「汚れて大変そう」。そんな疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、なぜ私たちが裸足保育を大切にしているのか、その意図や魅力について、近年の研究成果も交えながらご紹介します。
どろんこ会がめざす「裸足保育」の目的
どろんこ会では、室内でも園庭でも、子どもも大人も、一年を通して基本的に裸足で過ごします。目的は主に次の3つです。
①ケガをしない強い体を育てる
靴下や靴の締め付けから足指を解放し、地面を力強くつかむ感覚を養うことで、「歩く・走る・跳ぶ・とび降りる・よじ登る・横や後ろに動く」といった運動感覚を身につけます。寒さが厳しい真冬の季節には「草履」を併用するなど、無理なく足指の力を伸ばす工夫を行っています。

②「センス・オブ・ワンダー」
土や水の冷たさや温かさ、芝生のチクチク感に木のデコボコ──。足裏を通じてダイレクトに感じる自然の感触が、子どもたちの豊かな知的好奇心や感受性を刺激します。

③のびのびとした主体性を引き出す
「靴が汚れる」「服が濡れる」といった大人の都合や制限を取り払い、子どもの「やってみたい!」をとことん引き出します。スタッフも共に裸足になり、子どもと同じ感触を味わいながら、対等な目線で主体性を後押ししています。

一方で、気になるのは安全面や裸足になりたくない子どもへの配慮です。
どろんこ会では園内の安全対策を徹底し、園外への散歩時には靴を着用するなど自由と安全管理の両立を追求しています。また、子どもたちに裸足を強要することは決してありません。自身の気持ちを何より尊重し、適切なタイミングを見守ります。

それでは実際、裸足保育の日常にはどのような景色が広がっているのでしょうか。茨城県つくば市にある「万博公園どろんこ保育園」を訪ねました。
足裏が解き放たれると、遊びは無限に広がる
園庭に広がるのは、シラカシの木々や高低差3メートルにも及ぶ築山、田んぼ、畑、ドジョウが泳ぐビオトープにキウイ棚。季節によって表情を変える自然そのものが、子どもたちの生活の舞台です。

園庭の片隅にある泥池では、スタッフが土を掘り返し水を流し込んでいます。そのすぐそばで待ちかねていたように次々飛び込む子どもたち。池の傾斜を利用して何度も滑ったり、泥しぶきを掛け合ったり、あっという間に全身泥だらけです。


泥池にごろりと寝そべって大地の感触を味わう子。お腹や手足に泥を塗り、互いの姿を見て笑い合う子。服が濡れることも泥だらけになることも気にせず、五感をいっぱいに使って遊び込んでいます。

少し離れた平らな場所では、素足や草履で縄跳びをする子どもたちの姿がありました。「見て!」と誇らしげに見せてくれたのは、自分たちで布を編んで作った縄です。一般的なゴム製の縄とは違い、裸足の足に当たっても痛くありません。

木陰に移動すると、「本格バーベキュー」の世界が広がっていました。角材を組み上げ特製の焼き台を作った子どもたち。下に赤い器を置き、炎に見立てています。「いま火を起こしたところなんだけど、まだ火力が足りないんだよね」と真剣な表情。火力を上げるために試行錯誤していました。

裸足保育による活動の中で、子どもの心は清々しく解き放たれます。五感と体、そして創造力を使ってどこまでも遊び込む体験。これこそが、私たちが大切に重ねている日常です。

のびのびと活動する子どもたちを前に、大人は日々どのような思いで保育と向き合っているのでしょうか。
後編は、万博公園どろんこ保育園・田中施設長へのインタビューをお届けします。さらに、どろんこ会が研究協力を行った東京工科大学の「足部の発達」に関する驚きの最新データもご紹介!
危ない?汚い?それでも、どろんこ会が「裸足保育」を続ける理由。─足裏から育つ創造力と、生き抜く力【後編】







