どろんこパーソンに迫る!vol.5 どろんこ会最北端と最南端でよりよい保育のために高め合う施設長対談~勤続10年を振り返り未来を見据える~

2025.09.11

#保育

メリー★ポピンズ エスパル仙台ルーム 市川どろんこ保育園 西崎どろんこ保育園

どろんこ会グループの理念である「にんげん力。育てます。」。

子どもにその力を育むためには、保育・支援に携わる全ての大人こそが「にんげん力」をもっていなければなりません。

どろんこ会グループは全国約180箇所の施設を運営し、スタッフの数は約2700人に及びます。(2025年3月時点)多彩なバックグラウンドをもつ一人ひとりが、さまざまな人生経験を糧に、その背中を子どもたちに見せながら、子育てに取り組んでいます。

そんなスタッフ一人ひとりのストーリーを伝える「どろんこパーソンに迫る!」。第5回は新規園のオープニングスタッフとして同時に入職、約10年を経てグループ最北端と最南端で施設長を務めている2人の対談をお届けします。

永年勤続表彰パーティーにて
永年勤続表彰パーティーにて再会した二人。前列中央が岩本さん。後列左から2番目が末永さん

出会いは初めて尽くしの市川どろんこ保育園

2025年現在、どろんこ会グループの施設がある最北端は宮城県仙台市、最南端は沖縄県糸満市です。前者のメリー★ポピンズ エスパル仙台ルームの施設長である末永さん、後者の西崎どろんこ保育園の施設長を務める岩本さん。二人が出会ったのは11年前の2014年、市川どろんこ保育園(千葉県市川市)の開園時でした。

市川どろんこ外観
市川どろんこ保育園はどろんこ会初の千葉県進出、初の高架下での開園でした

末永さんは30年間幼稚園に勤め、その系列保育園の園長も8年間務めた大ベテラン。

岩本さんは乳幼児用品の販売会社に2年勤務したのち、東京都認証保育所で4年間働き、どろんこ会に入職しました。

—二人はなぜどろんこ会への転職を決めたのでしょうか?

末永:前職の保育園で園長という立場になり、研修などで他園の方と接する機会が増えたのを機に、保育観の違いについて考える機会が増えました。そこで今一度自分を振り返り、広い視野で見渡したいという思いがあり、退職を決めました。

次をどうするか考えていたときに、どろんこ会の新たな園がオープンすることを知りました。自分たちで話し合って決める、園長の主導で動くのではなく、みんなで創り上げていく園と聞き、入職を決めました。

保育・幼児教育一筋の末永さん
保育・幼児教育一筋の末永さん

岩本:私は当時勤めていた認証保育所で園長の打診を受けていたのですが、経験が足りていないと感じており、また、認可保育園でも働いてみたいと転職を考えました。そのときにどろんこ会の募集を見て、当時ほかではあまり見なかった子ども主体の保育と戸外活動を推進していることにひかれました。

—当時はまだ「どろんこ会」の知名度も低く、園数も20園ほど。2014年は市川どろんこ保育園以外にも複数同時開園で、法人が拡大する時期でした。いかにスムーズに開園できるか、初日を迎えられるか、試行錯誤しながら全社を挙げて協力していたと聞きました。

末永:市川どろんこ保育園は、どろんこ会グループとしては千葉県初進出、初高架下での開設、120名定員という初めての大規模園と、初めて尽くしで不安もありましたが、いろいろな園の先生が来てフォローしてくれました。

岩本:私も初・認可保育園、初・異年齢保育と、同じく初めて尽くしでした。ただ、同期でもあり園長でもある末永さんが優しく、私の提案をスムーズに受け入れてくれたことをとてもよく覚えています。

西崎どろんこ保育園施設長の岩本さん
現在は西崎どろんこ保育園の施設長を務める岩本さん

末永:オープニングスタッフの中でも経験者の岩本さんはとても頼りになりました。何かあれば岩本さんに「どうしようか」と聞けば率先して動いてくれたので、当時から将来を期待していました。

「子ども主体の保育」と「失敗から学ぶ」経験が生きる

—共に働いた間、記憶に残っているエピソードはありますか?

末永:2年目を迎えた時、岩本さんが同僚と結婚することになり、式に招かれて主賓として挨拶をしました。「将来的には園長になるべき存在なので、フォローをお願いします」と話したら、数日後に岩本さんがたくさん本を持ってきて、「将来管理職になるための勉強をするんだ」と。言い過ぎてしまったかなと思った覚えがあります(笑)。

どこでもスタッフに慕われる末永さん
どこでもスタッフに慕われる末永さん(前列右から3番目)

岩本:前々から施設長にということは言われていたので意識はしていました。市川どろんこ保育園では、末永さんのお人柄なのか、意図的だったのかはわからないのですが、本当に自由にさせてもらいました。トップがダメと言い過ぎず、かつ、やらされている感じにならないようにうまくバランスをとる末永さんのマネジメント方法やスタイルは私の見本となっています。施設長となった今でも当時の経験が生かされていると感じています。

末永:私はスタッフにはこの仕事に就いてよかった、楽しかったと思ってもらいたいのです。失敗しても大丈夫、いろいろなことに挑戦することが大切だから、やりたいことをやってみて、考えていこうと話しています。何かを達成するのでも真っすぐでなくても曲がり曲がってでもたどり着けばよいのではと考えています。

—二人は3年間、市川どろんこ保育園で共に働き、その後はそれぞれ違う道を歩みます。

岩本:私は2016年にメリー★ポピンズ 市川ルームの開園を機に異動、主任になりました。2年間勤めたのち、家庭の事情で神奈川県に住まいを移すこととなり、神奈川県立がんセンター あゆみ園※1に配属されました。施設長となったのですが、院内保育所でクライアントのいる園は初めてだったこと、職員構成もこれまでとは全く違ったので、たくさん失敗もしました。ただ、市川どろんこ保育園のときに実践してきた「子ども主体の保育」そして「失敗から学ぶ」ことを大事に乗り切りました。

当時の全体研修での発表の様子
全体研修で発表を担当した岩本さん(一番右)

末永:岩本さんがあゆみ園にいる時、全体研修※2で久しぶりに姿を見たのですが、生き生きと笑顔で発表している姿がとても印象的でした。園長としての自信がついてきたんだなとうれしく思いました。

※1 どろんこ会グループである株式会社日本福祉総合研究所が受託運営している院内保育所。

※2 グループの目指すゴールを共有する、全スタッフが一堂に会して実施する研修。現在はオンラインで開催。

かたや千葉、かたや神奈川・沖縄と全く違うキャリアを歩む

—岩本さんはあゆみ園で3年間過ごしたのち、2021年に川崎市のメリー★ポピンズ 川崎西口ルームの開園に伴い、施設長として赴任。2024年に現在の西崎どろんこ保育園に行くこととなります。

岩本:石川どろんこ保育園(沖縄県うるま市)で施設長を務める同期の加藤さんから、西崎どろんこ保育園の開園のことを聞いて、「沖縄、いいですね」と話していたら、施設長に推薦してくれたのです。こうした施設長同士のつながりがあることもどろんこ会の特徴ですね。

関東で生まれ育つと、沖縄で暮らす機会はなかなかないので、沖縄に住んだことがあるといえる人生の方が楽しいなと思いまして(笑)。家族も転勤には抵抗なかったので、思い切って行くことにしました。

川崎西口ルームのオープニングスタッフも務めた岩本さん
メリー★ポピンズ 川崎西口ルームでは施設長としてオープニングを任されました

—末永さんは市川どろんこ保育園で8年、同じ千葉県内の一宮どろんこ保育園で2年、施設長として過ごしました。千葉県で過ごした10年の間に、末永さんの元で育ったスタッフは現在、同県内の系列園の施設長を務めています。

末永:1年目でやめたいと言っていたスタッフもいましたが、今では皆を支える存在になりました。スタッフをバックアップすることは、最終的にどろんこ会グループのためにもなるので、助け合うことが大事です。いろいろなスタッフと出会うなかで、以前は保育に対して受け身だった私自身も変わってきたと思います。

一宮どろんこ名物のどろんこスライダーを楽しむ末永さん
一宮どろんこ保育園夏の名物のどろんこスライダーを楽しむ

一宮どろんこ保育園では一宮町の役場と連携して他園との交流を企画したり、とても楽しくいろいろなことに挑戦できました。よい気持ちのままそろそろ引退かな……と思っていたら、突然メリー★ポピンズ エスパル仙台ルームへの異動の打診を受けて(笑)。義実家が仙台ということもあり、家族も賛成してくれたので決断しました。

場所は違っても、どろんこスピリッツが生き続ける

—同じ場所からスタートし、勤続10年目を迎え、グループ内最北端と最南端に位置する園で施設長を務めるという不思議な縁。それぞれの抱負とお互いへのメッセージを聞かせてください。

岩本:どろんこ会グループは沖縄県ではうるま市に2園展開してきましたが、糸満市では西崎どろんこ保育園が初めてです。まだまだ新参者なので地域に根付いていくことが大事だと考えています。千葉県の時のように、どろんこ会の保育園が来てくれてよかったと思ってもらえるよう頑張りたいです。

沖縄の気候風土を生かした保育に取り組む岩本さん
沖縄の気候風土を生かした保育を楽しむ

末永:私もせっかく仙台という新たな地に来たので、いろいろこのエリアの取り組みを発信していきたいです。スタッフも機動力があり、さまざまな活動をしているので、もっと自信をもってもらえるよう接していきたいと考えています。

岩本:私にとって末永さんは目標の人なので、これからも頑張り続けてほしいと思っています。今回、勤続10年という節目にこのような対談の機会をいただけたので、次は20年目にお会いしたいと思っています。

末永:岩本さんとの出会いもそうなのですが、どろんこ会グループに来て、人と人とのつながりが大切だという言葉に尽きると感じています。岩本さんはいろいろと嫌なことがあっても、顔に出さずに頑張る人。落ち込んでやめたいと言った時もありましたよね。でも、ここまで多くのスタッフを引っ張ってきてくれたので、これからも次世代を育てながら頑張ってもらいたいと思っています。

仙台に異動しても元気いっぱいの末永さん
メリー★ポピンズ エスパル仙台ルームでも元気いっぱいの末永さん

お互いにエールを贈り合った二人。働く場所は変わっても、原点で学んだことを忘れずに活躍しています。

支え合い、助け合いながら、よりよい保育をするために高め合っていく土壌があるどろんこ会グループだからこそ生まれた10年目の絆をご紹介しました。

次回も全国のどろんこパーソンをご紹介します。お楽しみに。

施設情報

メリー★ポピンズ エスパル仙台ルーム

西崎どろんこ保育園

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