Doronko Agriの挑戦ー第3回未来編「人・食・仕事がつながる循環型社会の実現へ」全3回
2025.11.06
安全な給食野菜の自給自足をめざし、創業以来走り続けてきたDoronko Agri(どろんこアグリ)。前回に引き続き現地リポートをお届けするとともに、Doronko Agriが描く未来図を紐解きます。
Doronko Agriの挑戦ー第2回現場編「減農薬栽培の畑と食育の現場に学ぶ、安心給食のつくり方」全3回
畑を継承し、農家と共に地域創生の一歩を踏み出す
続いて、埼玉県上尾市にある圃場を訪れました。ここでは給食に使用する露地野菜に加え、一般向けに販売している濃厚フルーツトマト「ポモ・ロッサ」も栽培しています。

ポモ・ロッサは、甘さとおいしさの極限を追求した濃厚な高級フルーツトマト。上尾市観光協会が主催する「あげお市民セレクション」で、今年3年連続で推奨品に選ばれた名品です。
元々はエムズ水楽園ファーム株式会社が生産・販売を行っていましたが、2024年8月、野菜の安全性と品質への思いが一致し、Doronko Agriに合併しました。畑の継承と地域農家との協働もDoronko Agriの大切な使命です。

ポモ・ロッサを生産する関口さんに話を伺いました。
ーフルーツトマト「ポモ・ロッサ」の魅力を教えてください
関口:何と言っても糖度9度以上の濃厚な甘みと、凝縮されたトマトの味わいです。誰も食べたことがないほどの甘いフルーツトマトを作ることを目標に、10年前から挑戦を続けてきました。
加えて、安全性の高さにこだわっています。これまでも農薬の使用は最小限に抑えてきましたが、Doronko Agriとの共創を機に、さらに段階的に減らす挑戦を続けています。

ーポモ・ロッサはどこで楽しめますか?
関口:収穫・販売時期は11月〜6月頃で、東京・埼玉のスーパーを中心に流通しています。さらに今年(2025年)、ECサイトをオープンする予定です。
桶川市のふるさと納税返礼品としても登録が決まり、より多くの皆様の手に届きやすくなると期待しています。私たちの情熱が詰まった一粒を、ぜひお試しください。

農業ビジネスの鍵を握る舞台裏、選果場へ
その後、上尾圃場のすぐそばにある選果場を訪れました。ここはDoronko Agriの野菜の流通と保管を一手に担う施設。普段表に出ることはありませんが、収穫量と出荷量のバランスを調整する上で最も重要な存在です。

各地で栽培された農産物はいったん当施設に集められ、出荷に向けた準備を行います。当日も、明るい笑顔で手際よく野菜を選定・計量し、袋詰めを行うスタッフの姿がありました。

野菜の保存という重要な役割も担っています。作物ごとに適した保管環境は大きく異なります。
例えば同じイモ類でも、ジャガイモは収穫後すぐに冷蔵するのに対し、サツマイモは室温40度以上・湿度60%以上の環境で約1週間放置するそうです。自己再生能力を高め、防腐作用を最大限に引き出すための工夫だそう。
精魂込めて作った作物が丁寧に仕分けられ、保存され、送られていく場所。そこには多くの人の手と専門知識が集結していました。

人・食・仕事が循環する持続可能な社会をめざして
最後に再び、高堀代表に話を聞きました。
ー今後、新たに挑戦したいことはありますか?
高堀:耕作放棄地の問題が深刻化する中で、「農地を購入してほしい」「観光農園を引き継いでほしい」などの依頼が相次いでいます。今後も継続して農地を拡大するとともに、どろんこ会グループ全体で連携を図りながら、子どもたちに新たな収穫体験の場を創出していきたいと考えています。
かねてより、どろんこ会では畑仕事を重視し、子どもたちが自分の手で稲や野菜を育て、収穫し、調理して食べる活動を大切にしてきました。そこに新たな体験の機会を広げていくイメージですね。
人格の土台を形成する幼児期に「10よりも100の経験を」ーこれも、昔から変わらない私たちの信念です。

高堀:また、農業に特化した就労支援施設の設置も検討しています。
どろんこ会グループの就労継続支援B型事業所が運営する「TUMUGI CAFE 武蔵野」(東京都武蔵野市)では、居心地のよさとおいしさを追求し、東京で最も工賃の高い事業所を目指し活動しています。同カフェが焙煎・提供するコーヒー豆は、結婚式場や企業のギフト用製品に採用されるなど、その品質と価値の高さは社会的にも認められつつあります。
農業の分野でも同様、そこに携わる大人が意欲的かつ継続的に働ける世界を作りたい。「世の中にとって必要で、よい産業」だからこそです。

ー有機肥料をつくるプラントの建設も予定されているそうですが
高堀:どろんこ会グループでは現在、給食残渣を極力出さない独自のレシピ開発に注力していますが、それでもどうしても使い切れない野菜の端材や、世の中に出る生ごみを集め、有機肥料に変えるプラントを作る構想を練っています。
そこで生まれた肥料をDoronko Agriの農業に活用し、地域の大人が育て、その畑から生まれた野菜を子どもたちが食べる。人も食も仕事も循環する大きな環境の中に自分がいるーそのような優しい世界を、子どもたちにも職員にも、実感してほしいと考えています。

どろんこ会グループでは引き続き、農業を通じて食の安全と持続可能な循環型社会の実現に力を注いでまいります。
農業や就労支援に関するご質問・ご相談は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
連載記事
Doronko Agriの挑戦ー第1回創業編「保育園給食に安心・安全を届ける農業エコシステムを」全3回
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