子どもをみる視点を拡げる公開保育と保育スキル講座

2019.02.14

#学ぶ

宮下どろんこ保育園 発達支援つむぎ 宮下ルーム

宮下どろんこ保育園(千葉県君津市)は、2018年4月の民営化による新規開園以来、保育園の園児と併設された発達支援つむぎ宮下ルームを利用する子どもたちとが共に活動する保育に取り組んできました。開園から10ヶ月経った12月、自分たちの保育を一度振り返るために公開保育を実施しました。職員同士の学び合いの場として、多様な子どもたちが混ざり合う保育に欠かせない、子どもをみる視点を拡げるための保育スキル講座も同時に開催。今回はその様子をレポートします。

公開保育で保育士と発達支援の職員が学び合う場を

今回、公開保育と保育スキル講座を同時に実施した理由を齋藤園長にお聞きしました。

「これまでも、千葉県内にあるどろんこ会グループの保育園数園でずっと公開保育は行ってきましたが、開園1年目の宮下どろんこ保育園では今回が初めてです。公開保育では、どろんこ会グループが目指す『子どもが主体の保育』ができているのかなと自分たちの保育を振り返ります。見学者は宮下どろんこ保育園が発達支援つむぎ併設ということもあり、配慮が必要な子どもたちにどう寄り添っているかを学びたいと思っているようです。だから、公開保育の後に、つむぎの職員と一緒に保育スキル講座で学び合う場も作りたいと思いました。」

見学者の一人、一宮どろんこ保育園の職員は「つむぎを利用する子どもたちが園の中でどう一緒に活動しているのか、保育園の職員とつむぎの職員が子どもたちにどう関わっているのかを学びたい」と話していました。

研修で話を聴く職員たち
つむぎ真島施設長の講座を聴く職員たち

混ざり合う子どもたちの姿

自然環境に恵まれた宮下どろんこ保育園。散歩を通して、自然の中での保育の様子を見学者に見てもらう予定でしたが、この日は残念ながら雨のため、室内での活動がメインとなりました。まず、見学者は園内の設備、おもちゃや様々な道具の配置、子どもたちの自由遊びの様子などを見てまわることからスタートしました。

手作りの棚を撮影する職員
手作り収納のアイデアをチェック
コーナー遊びの様子を見て回る見学者
コーナー遊びの様子を見て回る参加者
リズム体操をする子どもたち
リズム体操の様子もこまめにメモ

リズム体操の後は、昼食まで自由遊び。子どもたちは自分の遊びたいコーナーで、じっくりと遊びます。雨が霧雨になったので、先生と園庭に飛び出していく子どもたちも。この間、見学者は園児とつむぎに通う子どもたちが混ざり合って遊ぶ様子、保育園とつむぎの職員の保育の様子などをじっくり観察していました。

デーブルでブロック遊びする子どもたち
園児とつむぎ利用児が混ざり合って遊ぶ様子を観察

昼食後、午後の保育スキル講座が始まる前につむぎ宮下ルームのみの活動を見学。つむぎに通う子どもたちは、午後1時間ほどつむぎのみの活動を行って帰宅となります。保育園の活動とはまた違った様子を興味深くみていました。

発達支援の活動の様子を見学
発達支援つむぎのプログラムを見学

子どもをみる視点を拡げるために

午後の振り返りでは、集団の中で活動することが難しいと言われていたつむぎ宮下ルームを利用する子どもたちが、宮下どろんこ保育園の保育の中で様々な子どもたちと混ざり合い、のびのびと遊ぶ様子を実際に見て驚いたと話す見学者たちが多くいました。そうした振り返りを受けて、「子どもの特性をみる視点をたくさん持つこと」をテーマに、つむぎ宮下ルームの真島施設長が保育スキル講座を進めていきます。

最初のグループワークは、「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査」について。この発達検査を学んできた宮下どろんこ保育園の職員が検査の方法を説明し、参加者は検査表の項目を見ながら、どう解釈するかなどを話し合いました。グループワークの後、「発達検査では、その子が今どの発達段階なのかを知ることができます。遅れや苦手な部分はより丁寧に関わることが大切。その子の『今、ここの姿』を否定しないでください」と話していた真島施設長。保育所等保育指針に書かれているように、保育者が全ての子どもに対して、もともと違いを持った一人一人としてみること、「子ども観」を拡げることが大事だと伝えていました。

発達検査について説明する保育士
発達検査表について説明する宮下どろんこ保育園の職員
発達検査の用紙を見ながら話し合う保育士たち
検査項目の解釈について話し合う

後半は、「『気になる子』と言わない保育」(赤木一重・岡村由紀子編著 ひとなる書房)の事例を読み、一つの例を用いてその子の長所や好きなこと、得意なこと、不安に感じること、苦手なこと、何をどこまで理解しているか等を話し合うグループワークを実施。様々な視点で見えた子どもの気持ちや姿をもとに、配慮が必要な場合、保育の中でどう寄り添っていけばよいか、どのような環境をつくってあげるとよいのかなど、各グループが発表して保育スキル講座は終了しました。

職員同士でグループワーク
グループワークでは様々な視点からみた子どもの姿を話し合っていました
グループワークの発表をする職員たち
各グループでまとめを発表

全ての大人が全ての子どもを育てる

園と発達支援の職員が共に実践を積み重ねている「全ての大人が全ての子どもを育てる保育」ですが、発達支援つむぎが併設されている園だけで取り組んでいることではありません。今回のように、参加者が公開保育、保育スキル講座で学んだことを自園に持ち帰り共有していくことで、各園が子どもたち一人一人の違いを理解した保育、子育てに取り組んでいます。

宮下どろんこ保育園の情報をみる

発達支援つむぎ宮下ルームの情報をみる

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