保育士が経営層にアイデアをプレゼン「新規事業・サービス提案制度」

2021.07.08

#学ぶ

全施設

どろんこ会グループには、「子育て探究費制度」や「社内講師制度」など、スタッフの探究やチャレンジを応援する制度が幾つかあります。今回はそのうちの一つ、「新規事業・サービス提案制度」についてご紹介します。

職種も立場も超えて、自由な発想で提案

「新規事業・サービス提案制度」とは、保育士や栄養士、調理師、発達支援の専門士、本部などすべてのスタッフが自ら考え、工夫して0から1を生み出すことを応援する制度です。「こんなサービスがあったらいいな」「こんな事業を立ち上げてみたい」「施設を地域や保護者にとって、もっと楽しめるものにしたい」などのアイデアを持つスタッフが経営層にプレゼンテーションし、そのアイデアをどう実現できるかを経営陣も一緒になって考えます。

昨年度のプレゼンテーション発表会には、様々な職種のスタッフからなる16チームが参加。園オリジナルのレトルト離乳食や遊び道具などの商品開発、子ども食堂や里山活用などの場づくり、社内交流や業務効率を目的としたアイデアなど、それぞれのチームが渾身のプレゼンテーションを行いました。

スタッフによるプレゼン
オンラインで実施したプレゼンテーション

役員や本部部長といった経営陣、グループの理事や評議員の方などが審査員となり、発表後には大きな拍手とともに「これは面白い!」「ぜひ、実現しましょう!」といったコメントが寄せられました。

プレゼンの審査員たち
スタッフ一人ひとりの想いをじっくりと聴く審査員

高校時代から考えていた子育て支援事業を実現したい

今回、アイデアを発表した一人、宮下どろんこ保育園(千葉県君津市)の保育士・永野さんに、エントリーした経緯やアイデアに込められた想いについてインタビューしました。

永野さんが提案したのは、誰でも利用できるフリースペースや地域の食材が楽しめる飲食スペース、勉強ができる自習コーナーなどがある人と人の出逢いや交流が生まれる地域の拠点「Doronko Labo(どろんこラボ)」事業です。

宮下どろんこ保育園の永野さん
宮下どろんこ保育園の永野さん

—プロジェクトにエントリーした理由を教えてください。

実は高校生の時に、自分の家庭生活を見つめ、生活の中にある問題をどう解決していくか考える問題解決型学習「ホームプロジェクト」という取り組みに参加したことがあり、その時からずっとやりたいことがあったんです。それを実現できるチャンスだと思い、すぐにエントリーしました。

—高校在学中は、どんな取り組みをされていたのですか?

当時、私は木更津市に住んでいて乳幼児の兄弟が3人いました。子育てに追われる母親の姿を見て、人の手助けが一番大切だと感じていました。ちょうどその時、春休みの宿題でホームプロジェクトに取り組むことになり、子育てに悩む人の役に立つように木更津市の子育て関連施設を地図に記した「子育てマップ」を作成しようと考えたんです。実際に自分が住んでいた地域内を調べてみると、たくさんの施設があることを知りました。

永野さんと友人が作成した子育てマップ
永野さんと友人が高校時代に作成したマップ

高校時代の恩師の勧めもあり、ホームプロジェクトコンクールに参加したところ、千葉県大会で優勝し、全国大会では準優勝でした。ちょうど全国大会に参加する時に子育てマップも完成し、近隣の保育園や市役所、公民館などで配布していました。その取り組みが評価され、市長と話す機会を持てたり、新聞やテレビで紹介されたりと大きな反響をいただいたんです。そんな経験から「人と人をつなげる仕事」をしたいと思い、まずは保育士資格を取得して保育士になろうと思いました。

—「Doronko Labo(どろんこラボ)」のアイデアは、どのように生まれたのでしょうか?

宮下どろんこ保育園に配属となって2年目から、地域子育て支援センター「ちきんえっぐ」を担当することになり、かねてからやりたかった子育て支援に関わることができました。ベビーマッサージ会やクリスマス会など様々な企画を進める中で、あらためて保護者や地域の方々にとって「リアルなつながりの場」がとても大切だと実感しました。

ちきんえっぐでのイベント
ちきんえっぐでの保護者同士のつながりをつくるイベント(2019年度開催)

また、君津市には児童館がなかったので、「ちきんえっぐ」と併設して「どろんこ児童館」ができないかも考えていました。未就学児まで対象の児童館ではなく、また子どもや保護者だけではなく、小中高校生が勉強できるスペースや、駄菓子を買ってお喋りしながら食べられる憩いの場があるなど、年齢や立場に関係なく誰でも利用できる場所をイメージしています。何か目的があって行くというより、行ったら何か生まれる場所が良いなとずっと考えていたんです。今回の制度がチャンスだと思って手を挙げ、アイデアベースの段階で本部からもいろいろとアドバイスをもらいながら、君津市役所に足を運んで話を聞いたり、いろいろ調べたりするうちに「Doronko Labo(どろんこラボ)」のプランにまとまりました。発表後に、審査員をされていた評議員の方から「オンラインでつながれるこの時代に、人と集まれる場所をつくるのは素敵なことだよね」とコメントいただけて嬉しかったです。

—アイデアの実現に向けて、今後の動きを教えてください。

最初は保育園がある君津市で考えていたのですが、色々と情報収集するうちに、高校時代の恩師のご協力もあって袖ヶ浦での実現を検討し始めました。どろんこ会グループの児童発達支援事業所「つむぎ」や人と人がつながる子育て支援のコミュニティを併設して開設できないかと考えています。

「0を1に変える」ことをスタッフ自身が経験する

どろんこ会グループは、「『0を1に変える力』を日本中の子どもたちにつけ、物事を投げ出さずに向き合う若者が社会を支える世の中を創ります」とグループミッションを掲げています。このミッションの実現には、スタッフ自身が「0を1に変える」経験を積み重ねることが大切だと考えています。今後もスタッフが様々なことにチャレンジできるように、「新規事業・サービス提案制度」「子育て探究費制度」「社内講師制度」などの諸制度の拡充を図ってゆきます。

関連リンク

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宮下どろんこ保育園・地域子育て支援センター「ちきんえっぐ」と公民館の地域連携事業

保育の質を高めるために 学び、教えてまた学ぶ社内講師制度

保育者の探究心を支える「子育て探究費」制度

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