どろんこ会理事長 安永愛香が「保育博2021」の主催者特別セミナーに登壇しました

2021.12.08

#メディア・講演

講演情報

2021年12月2日(木)に開催された「保育博2021」主催の業界の著名人による特別セミナーにどろんこ会理事長の安永愛香が登壇しました。セミナーの様子をレポートします。

異年齢保育・インクルーシブ保育の重要性を講演

講演テーマは「なぜ必要か・どう実践するか~異年齢保育・インクルーシブ保育~」。

少子高齢化が加速する日本において、今、保育園に通う年長児が36歳となる2050年ごろには、労働者1.3人で高齢者1人を支える時代が到来すると言われています。そのような時代を生きる子どもたちはAIやIoTを使いこなし、高齢者や外国人と共に社会課題を解決してゆかねばならず、私たち保育士がこれからの保育にどう取り組むかが子どもたちの未来を確かなものにしていくと、安永理事長は考えています。

これから取り組むべき保育とは何か。安永理事長が力強く伝えたのは、「異年齢保育」と障害の有無に関わらず全ての子どもが共に生活し育ち合う「インクルーシブ保育」でした。保育所保育指針のみならず、障害児支援における児童発達支援ガイドライン、特別支援学校幼稚部教育要領、小学部・中学部学習指導要領/高等学部学習指導要領の中でも「生きる力」を子どもたちに育むことが求められています。しかし、障害児の保育・発達支援においては、「友達とトラブルになるから加配保育士(障害がある子どもを担当するために配置される保育士)をつけましょう」、発達障害に伴いやすい感覚過敏がある子どもに対しては「土や水に触れないから室内で遊ばせましょう」など、大人が障害児を特別扱いする傾向があり、子ども自身が直接体験でのトライアル&エラーから学び、成長するきっかけを奪っていることも多くあります。

異年齢保育、インクルーシブ保育について話す安永理事長
100名以上の聴講者で会場はほぼ満席となりました

障害の有無に関わらず、子どもたちは遊びや自然の中での直接体験を通して、3つの要素「年齢や性格、得意なことも違うさまざまな他者と協働すること」「感情のコントロール」「目標に向かって頑張る力」、いわば「非認知能力」を身につけます。それらが「生きる力」につながります。保育者がそのことを理解し、「屋外かつ異年齢の関わりの中での直接体験を通じて、3つの要素が求められる場面を環境設定し、見守る」ことの大切さを参加者に語りかけた安永理事長。その話に大きくうなずいてくださる聴講者が何人もいらっしゃいました。

生きる力を育む保育について話す安永理事長
「生きる力」を育む保育、環境設定について話す安永理事長

講演の終盤では、どろんこ会グループが運営する認可保育所と児童発達支援事業所を併設した施設において、障害がある子と無い子が遊びを通して共に育ち合っている事例や、加配保育士をつけない「ゾーン保育」「見守る保育」の実践も紹介。あらためて、保育者は障害があることを特別扱いし、さまざまな直接体験の機会を奪うのではなく、適切な支援・環境設定のもとに、トライアル&エラーを経験して意欲を持って行動する子どもを育んでいきましょうと語りかけました。

講演後、多くの方が安永理事長と名刺交換をしながら、視察の相談や実践について質問されている様子から、異年齢保育・インクルーシブ保育への関心の高さを伺うことができました。

厚生労働省の検討会で「保育と療育の一体的な支援」の方向性が決定

「保育博2021」のセミナーが開催される直前、厚生労働省が2021年10月、11月に実施した「障害児通所支援の在り方に関する検討会」および「地域における保育所・保育士等の在り方検討会」において、保育所と児童発達支援事業所の保育士が保育と療育を一体的に行う施設を実現するための運営基準見直しの検討が議論となり、報告書や取りまとめ案にその方向性が明記されました。

保育園と児童発達支援事業所の併設について話す安永理事長
併設施設について多くの聴講者の方からご質問、視察希望のお声をいただきました

認可保育所と児童発達支援事業所は行政上の管轄が異なり、設備運営基準が異なっているため、認可保育所と児童発達支援事業所を同じ建物内に設置し、双方の子どもが共に遊び、生活する併設施設の運営にはいくつもの壁があります。「保育博2021」で安永理事長が紹介した8箇所の併設施設でのインクルーシブ保育の事例は、この壁にぶつかりながらも実践してきたものばかりです。

国も運営基準を見直すなど、インクルーシブ保育の実現に向けて動き始めました。この動きをさらに推進するため、どろんこ会グループは、全ての子どもたちが育ち合う、どの子にも発達に必要な直接体験の機会を提供するインクルーシブ保育をさまざまな場面で発信してゆきます。

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