どろんこパーソンに迫る!「保育を変えたい」。公立保育園から転職し、理想の保育を追い続ける施設長の10年
2026.05.21
スタッフ一人ひとりの歩みや思いに迫る「どろんこパーソンに迫る!」。今回は、長年公立保育園で経験を重ね、2017年にどろんこ会グループへ入職した見附どろんこ保育園(新潟県見附市)の若杉施設長にインタビュー。
入職から3カ月後の最初のインタビューで、「ここなら自分の夢を実現できると思う」と語っていた若杉施設長。それから約10年――時を経た今だからこそ見えてきた、どろんこ会の保育と現在の思いを聞きました。

「参考書はいらない」。保育所保育指針をバイブルに挑む、保育の実践
公立保育園時代、若杉施設長が次第に強く抱くようになったのが「昭和の保育」への違和感でした。一斉活動を中心に進む保育、発表会のために繰り返される練習、意味があるとは思えない残業――「本当に子どものための保育ができているのだろうか」。そんな問いが胸に積み重なっていったといいます。
誰もが子どものことを思い疑問を抱きながらも、長年続いてきたやり方を変えるのは容易ではありません。「保育を変えるには、施設全体を動かす立場になる必要がある」。そう考えた若杉施設長は心機一転、転職を決意。2017年、新規開設する南魚沼どろんこ保育園(新潟県南魚沼市)の施設長としてどろんこ会グループへ入職し、新しい園づくりに取り組みました。

入職当初、最も共感したのは、どろんこ会の保育の根幹に「保育所保育指針」が据えられていたことでした。「私は、保育の参考書はいらないと思っています。必要なことは全て保育所保育指針の中に書いてある。それ以上でも、それ以下でもないからです」。 大切なのは、その考えを日々の保育にどう落とし込むか。若杉施設長は、その実践力こそが「保育の力」なのだと語ります。

揺るぎない土台があるからこそ、保育に「自由」が生まれる
一方、理想だけでは前に進めない難しさもありました。入職1年目には「辞めたいと思ったこともあった」と振り返る若杉施設長。特に大きな壁となったのが、どろんこ会グループの「保育品質マニュアル」でした。主体性を大切にする保育を掲げながらも、細かなルールや安全管理の基準が数多く存在する。その意味を自分自身が理解し、さらにスタッフへ伝えていくことに当初は苦労したそうです。
しかし、経験を重ねる中でその捉え方は変わっていきました。 「マニュアルは私たちを縛るためではなく、守るためにあったのです」。

リスク管理や保育の質の担保は、子どもたちだけでなく現場で働くスタッフを守ることにもつながります。その土台があるからこそ、保育者は安心して子どもと向き合い、自由な発想で保育を展開することができる。マニュアル遵守の先にある保育を、どう磨き上げていけるか――。そこにこそ施設長としてのやりがいがあると、今では実感しています。

1,000人が集う景色。追求した保育が、いつしか地域の文化遺産に
もう一つ、若杉施設長が大切にしてきたのが地域との関わりです。東京に本部を置く法人が地方で新たに園を開く。地域に受け入れてもらえるかどうか、不安がなかったわけではありません。それでも若杉施設長は「地域に溶け込もう」とは考えませんでした。
「最初から自分も地域住民の一人として暮らそうと思っていました」。 新潟県内の別地域で育った若杉施設長にとって、南魚沼市は初めて生活する土地でした。園の近くに住み、スタッフと共に神社の清掃ボランティアに参加したり、冬場は毎日消防小屋の除雪を行ったり。近隣の方々との挨拶や交流など、地道な活動は今も大切に受け継がれています。
こうした日々の積み重ねが、地域との自然な信頼関係を育んでいきました。

そのつながりの中から、南魚沼の伝統文化を次世代へつなぐ取り組みも生まれました。かつて親しまれていた盆踊り「糸と糸」の復活や、地元の人も足を運ばなくなっていた愛宕山の散歩道の整備、狼煙上げなどです。
これらは特別な地域貢献活動として始めたものではありません。「糸と糸」はどろんこ祭りの一環として、愛宕山は日課の長距離散歩の行き先の一つとして、日々の保育活動の延長線上で育んでいったものでした。

「地域に愛され、地域を大切にする園でありたい」。そんな思いで保育を追求する中で、少しずつ形になっていった南魚沼の文化遺産。現在「糸と糸」は地域の運営委員会との共同開催による1,000人規模の行事へと成長し、愛宕山にも再び地域の方々が足を運ぶようになりました。
「愛宕山から眺める景色は本当にきれいなんですよ」。そう目を細める若杉施設長からは、南魚沼への深い愛着が伝わってきました。

見附での新たな出発。「ここに来て本当によかった」と言える理由
2024年4月、見附どろんこ保育園の開園に伴い新たな施設長として着任することが決まり、再びゼロからの園づくりが始まりました。転職から約10年、若杉施設長はいま改めて「ここに来て本当によかった」と語ります。それは、子どもたちの姿が変わる瞬間に何度も出会えるからです。

発達支援つむぎ 見附ルームを併設する同園には、当初、他園で「問題のある子」と言われ転園してきた子どもたちがいました。集団活動への参加が難しい、食事が一緒にとれない――。しかし、一斉活動を求めず、その子のペースを尊重しながら関わる中で次第に変化が生まれていきました。自分の居場所を見つけ、のびのびと自己表現したり、リーダーシップを発揮したり、その姿は色とりどりです。
「問題がある子なんていない。環境によって人はこんなにも豊かに変わる」。その姿を目の当たりにするたびに、「保育は本当に奥が深い」と感じるそうです。

現在、若杉施設長が最も力を注いでいるのは組織づくりです。それは、子どもにとって最も大切な環境は「大人の笑顔」との考えから。スタッフ同士のチームづくりと、無理なく働ける環境づくりを徹底しています。
最後に、「夢は実現しましたか」と尋ねると、柔らかな笑顔でこう答えてくれました。
「はい。そして今も、実現の最中です。保育に完成形はありませんから」。その言葉には、約10年にわたり理想の保育と向き合い、実践を重ねてきた若杉施設長ならではの揺るぎない実感が込められていました。

「子育て」で未来を変えませんか?
新たな環境に一歩踏み出すには、不安や迷いが伴います。しかし、どろんこ会グループには一人ひとりが思い描く保育を仲間と共に試行錯誤しながら形にしていける環境があります。
私たちと一緒に働きませんか。これまでの経験を生かし、新たな保育に挑戦する皆さんをお待ちしています。
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